偽鑑先生の作文講座 その四
四、表現技法(修辞法)―比喩表現を楽しもう《7p》
 
 五、隱喩
 
 次は、隠喩の例を見ていくのである。まずは以前にも出た今野登茂子さんの作品から、


 ・水に溶け込んだ心 (「月の出来事」今野登茂子)
 ・嵐もいつか子守唄 (「月の出来事」今野登茂子)
 

 これは、どこを探しても「ような」がありませんね。ですから、隠喩だということになるのです。善し、悪しは言うのやめときましょう。偽鑑先生の意見に惑わされることなく、皆さん個人がどう思うかが大切です。偽鑑先生がいくら力こめていいと言ったって、あるいは逆に駄作だと言ったって、馬の耳に念仏、馬耳東風を決め込んでおけばいいのです。所詮、文学は個人の主観という領域を抜け出せなかったりするのですから。誰ぞに聞いてみましょう。(実際に指名するので覚悟するように。)
 というわけで、次の例。


 ・女よ、君の契りは、砂のうえに彫られたもの (「Jo Woman」バイロン)


 ウーン、西洋人はこう言うことばかり言ってるのである。だが、そのとおりだなぁと、偽鑑先生は賛意を表するのである。きっとバイロンさんも、女にはずいぶんひどい目にあって、どれだけひどい目にあっても、何度裏切られても、それでもやっぱり「君の契り」を信じてしまったのだろうなあ。と偽鑑先生は自分のことのように哀しむのでありました。そして、偽鑑先生は、「時計だけが約束を守る」と歌う、中島みゆきの哀しい歌声を思い浮かべるのでありました。
 ところで解説は必要ないでしょうね。少し心配なので、これも誰ぞに聞いてみましょう。(また、実際に指名するのである。)
 さて次は、また銀色夏生です。


 ・ 風が冷たい 音楽もきっと寒い (「雨の日のドライブ」銀色夏生)


 これはわりとありふれたフレーズでしたね。もうばかばかしいので解説は略。
 

 隠喩と直喩は、単に「ような」という言葉が、使われているかどうかという違いだけではなく、こ難しい理屈がいろいろあるのだが、そういうことは、いつものようには説明しないのである。はっきり言って、そういう理屈は偽鑑先生にもよく解らんのである。先生なのに解らんのか。給料泥棒!なんて責めないで下さいね。解んないのに解ったふりして嘘教えるよりはましだと思うので勘弁してくださいよ。だめですって、あまりしつこいと、思いっきり勉強してきて、イヤだ助けてというくらい気合いを入れて教えるというような暴挙に出ますよ。そうなったら困るのは皆さんですよ。(オイオイ、生徒脅してどうするんだ。)とにかく孔子先生も『論語』の中で言ってるように……ああ、「孔子先生も」はもういい、そうですね。やめときましょう。次に行きましょう。
 
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