偽鑑先生の作文講座 その四 | |
四、表現技法(修辞法)―比喩表現を楽しもう《11p》 |
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(「八、(いよいよ大詰め)その他の修辞法」のつづき) |
前編の最後に、(ということは「後編」もあるのである。)宿題を出しておくのである。言うまでもなく、今回偽鑑先生は自分の書いた文章にも様々な比喩やその他の工夫がたっぷり含まれているのである。君たちに表現のあれこれを勉強させるかわりに、偽鑑先生は自分の文章にも工夫を凝らしているのである。そこで、「この文章(前・後編とも)に使われている比喩やその他の表現上の工夫を抜き出して、簡単な解説と厳しい批評を加えよ」という課題を。後期の試験の代わりにすることに決めたのである。試験の代わりだから、提出しないと成績がつかないということになるのである。念のため、これはフィクションではありませんよ。 一つだけ例を挙げておきます。 「風呂上がりのビールくらいには、心地の良い」 【解説・批評(パターン1)】 心地良さの具合・程度を直喩によって表す。風呂上がりの、さっぱりスッキリとした夏の夕方、乾いた咽につめたく冷やしたビールを、グビッ、グビッと流し込む。その爽快感が良く伝わってくるので、私は大好きな表現です。 【解説・批評(パターン2)】 直喩。心地の良さを風呂上がりのビールで例えたものだが、教養のカケラも、意外性も感じられず、まるでとって付けたような比喩である。また、漢文の先生が漢字七文字に感じた心地良さと、風呂上がりのビールが持つ爽快感には果たして共通するものがあるのかどうかも疑問であり、表現としては失敗である。偽鑑先生ともあろう人が、こんなつまらない事書くとは期待はずれだ。あるいは、所詮この程度の実力だと判断するのが妥当かも知れない。 別に胡麻すりすり良い子ちゃんパターンでも、冷酷無比ガックリパターンでも点数にかわりはないが、きちんとした解釈と批評の根拠は書くようにしましょう。感情的になって、やたら大嫌いを連発だけはしないように。用紙・枚数はいつものように自由。今回は多ければ多い程よいことにしましょう。提出期限は未定。 | |
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