ある少女の日記より
朝 起きると
マドが曇っていました
そっと はしの方に
あなたと私のアイアイガサを
書いてみました
マド超しに光線が
入りこんできて
朝のスガスガしさが感じられました
ふっと
あなたの家へ行ってみたくて
出かけて行きました
でも
海なりの音が
あまりにも大きく聞こえたから
海へ行って遊んでみました
そばにあった
ビンの中へメモ用紙に
「私はあなたが好き」って
書いたのを丸めて入れて
海へ流してきました
マドの はしの方には
あなたと私の アイアイガサが
書いてありました
とどかない人へ
あなたがとっても大きく思えたから
声をかけるのをやめました
あなたがとっても とどかない人とわかったから
手をのばすのをやめました
初めての恋だったから
そっと 心の中だけにしまっておきました
「もう 二度と あなたのこと考えない」って思ってるのに
どうしても心は あなたのものなんです
あなたがとっても
幸福そうに見えるから
目を つぶりました
あなたがとっても
やさしく見えるから
遠ざかりました
もう どうしても
とどかないことがわかっているんです
どんなに私が
背のびしても
二度と あなたのそばには
行けないことは知っているのに
どうしても 背のびしてみたいんです
とどかないことがわかっていても
それで少しでも
あなたに近づけるなら
背のびしてみたいんです
ロウソクの火が消えた時
あなたに小さなほほえみがあったから
わたしは あなたを好きになりました
あなたにやさしい言葉があったから
私は あなたに話しかけたくなりました
あなたの「オハヨウ」の一言だけを大切に
私は今日まで生きてきました
私の青春はあなただけと信じて生きてきました
初めての恋だったんです
昨日 あなたに初めて好きだって
言われたから
私はロウソクの火を消したんです
「愛される」ってことは
ただ 燃えつきることだから
とても それがつらいから
聞きたくありませんでした
「好きだ」って言葉だけは―
ずっと ずっと 私の心の中の
希望として 残しておきたかったから―
|
鏡の中
鏡の中をのぞいてみました
そこに写っているのは
鼻の上にニキビを
ひとつ つくった女の子…
かすかに微笑むほっぺに
とてもかわいい えくぼが二つ
「目が大きいだろう、それがまたかわいいんだ」って
鏡の中を のぞいてみました
そこに写っているのは
鼻の上に ニキビをつくった
目の大きい女の子
愛の世界
北風の中から
あの人が息をきらせながら
私の所へ かけてくるんです
こんな二人を 見守るかのように
冷たい北風がいつのまにか
あまい花の香りになって
愛の世界を今 私達の所に届けるんです
愛
愛より強いものって
いったいなんでしょう?
さんぜんと輝く太陽?
それとも
あわい光をはなつ月?
ううん!!
愛はこのどれより強くて美しくて…
そして海より深くて
誰にもじゃまできなくて…
私もいつか この手に
その花びらを一枚もって
まだ誰かわからないけれど
世界中の人間の中から
二人は めぐり逢い
それまで 知らない同士が
互いにひかれあって
そして忘れられなくて
愛の花びらをこの手にもって
私の好きなもの
あなたはどんな花が好き?
私は真赤なバラが好き
だって
情熱的なんですもの…
あなたはどんな鳥が好き?
私は真白な小鳩が好き
だって
心にいつわりがないんですもの
私はあなたのどこが好きなんでしょう?
純真な瞳と 優しい微笑…
きっと
あなたの何もかもが
大好きなんでしょう
日記
誰も知らない私の過去を
私も忘れかけている過去を
日記だけが知っている
私のはかない恋を
私の心のもやもやを
日記だけが知っている
悲しみも苦しみも
すべて日記につづる
いつまでも いつまでも
私の過去を残してくれる日記
私だけの秘密の日記
|