2004年 卒業論文
LaTeX文章からHTML文章へ変換するツールの製作

人文情報学科 人文情報学分野
0148063 図師博章

概要

 まずこのテーマを選んだ理由であるが、普段レポートの作成などで使用していたLaTeXの文章構成がHTMLの文章構成と似ており、それならば何らかのプログラムによってLaTeXの文章をHTMLに変換できるのではないか、またそれによってWEB公開をする手助けとなるのではないかと考えたことである。また、それに加えて既存していた変換ツールでは数式などの処理を行う為に環境の構築が難しい点や日本語に未対応である点などの不満があり、普段数式などを使用しない文系論文を主に作成している私にとってはそのような既存の変換ツールの構築をするのは無駄な労力が掛かってしまうなどのデメリットであると感じており、またそれを解消した変換ツールという物が無かったというのも理由の一つとして挙げておく。

 次に実際に行った作業内容についてであるが、まず私は変換ツールの製作に入るに当たって2つの点を重視した。それは「環境の構築が容易」であるという点と「規格に忠実なHTMLに変換できる」という点の2点である。また、その2点を考慮し、特に環境の構築が容易であるという部分を満たした物を探した結果、製作にはPythonというプログラミング言語を使用することにした。また環境の構築が容易である点の他にも「直感的にプログラムを組むことができる」という利点もPythonを使用する要因の一つである。

 次に実際の作業内容についてであるが、実際に行った手順を簡単に説明すると、まずLaTeX文章から変換するHTMLの仕様を、CSS(スタイルシート)を用いたHTMLということに定め、次にLaTeXとHTMLのコマンドに対してそれぞれ対応する物を一覧した相関表を作り、対応するコマンドを確認してから実際の製作に入ることにした。実際の製作については、まず第一に相関表で確認した個々のコマンドに対して正確に変換ができるように処理を行うことにした。特にLaTeXの見出しの部分などはLaTeX独自の処理が行われているので、HTMLに変換する際にただ変換を行うだけでは再現しきれない部分があり、そのような部分はPythonの機能を使用して対応させることにした。次に、ある程度変換ツールの製作が終了した段階でいくつかのサンプルを用いてテストを行い、細かい修正を加えた。そして最後に完成した変換ツールをWEB公開する為の作業を行い、一応の終了とした。

 次に論文の内容についてであるが、私は主に変換ツールの製作の過程を通して「ユーザーの利便性を重視する」という方向性を論じました。これは既存のツールが「ツールがレベルを下げるのではなく、使用するユーザーがレベルを上げる」という方向性であった為、既存のツールとは全く正反対の方向性であるツール、つまり「ツールのレベルを下げユーザーの利便性を最も重視する」という変換ツールを製作し、この方向性の需要はあるのかということを問題定義として掲げ、それを変換ツールの製作を通してその問題に対する答えが導き出されるのかどうかを論じたということです。

 最後に結論であるが、完成した変換ツールを客観的に評価し、一部分に特化すること機能よりもユーザーの利便性を重視したツールの潜在需要は少なからず存在すると考え、以上のようなことから私は結論として「ユーザーの利便性を重視する」という方向性に対する需要は存在すると結論付けた。

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関連リンク

TeX to HTML(変換ツールを公開するために製作したWEBページ)

TeX to HTML(外部サーバー)
http://tex2html.hp.infoseek.co.jp/

日本語TeX情報
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/

Python Japan User's Group
http://www.python.jp/Zope/