メディアスポーツ化したプロ野球 2004年プロ野球問題をめぐって-
0248095 松崎雄介
目次
はじめに
第1章 メディアとスポーツ
1 メディアとスポーツの歴史
2 多チャンネル化時代
3 放送権料の高騰の影響
第2章 プロ野球におけるメディア化
1 巨人中心主義化
2 進むメジャー化
第3章 大谷学生におけるスポーツとプロ野球
1 アンケート調査の概要
2 アンケート結果の考察
第4章 これからのプロ野球
1 地域密着型スポーツへ
2 交流戦をもとに
おわりに
はじめに
スポーツは世界中で楽しまれているが、最近のスポーツは「する」スポーツから「みる」スポーツへと関与の仕方が変わってきている。テレビを中心としたメディアによって伝達されるメディアスポーツの普及は著しい。そんなメディアスポーツの中でも日本において中心であるのがプロ野球である。そのプロ野球は2004年再編問題で大きく揺れた。そこでプロ野球再編問題はメディアスポーツとしての問題があるのではないかと考え、メディア・スポーツ・プロ野球の関係を探ることにした。また大谷大生100人にスポーツとプロ野球に関するアンケートを行い、大学生とスポーツ・プロ野球の関係を明らかにする。
第1章 メディアとスポーツ
スポーツの発展にメディアは大きく貢献してきた。スポーツはラジオ・新聞・テレビと結びつき大きく発展した。しかしスポーツがビジネス化するようになったため、スポーツがメディアに依存するようになり、スポーツはメディアによって変化し、スポーツの本質が失われつつある。
第2章 プロ野球におけるメディア化
プロ野球はメディアによって大きく発展し社会に影響を与えるまでになった。しかしメディアが直接の利害関係にからむため、メディアに依存していた野球界は大きな問題を抱えることになった。その例が巨人中心主義である。巨人の元オーナーの渡辺氏によりプロ野球は大きく変えられた。スポーツという文化を公的に育てようとする思想を広げるべきであるメディアが、野球というスポーツを利用することによって自社の利益ばかりを追いかけていては、野球は文化として育たなくなってしまうのである。
またメディアの注目する点が変われば社会の注目する点も変わる。メディアが新たな分野に注目すれば、今まで注目されていた分野はメディアヴァリューとしての価値を失い、衰退してしまうのである。プロ野球のメジャー化がその一例である。選手が、社会がメジャーを注目するようになり日本球界の注目度が下がってしまう。
第3章 大谷学生におけるスポーツとプロ野球
実際に我々とメディア・スポーツ・プロ野球とどのような関係にあるのかを調べるために大谷大生100人にアンケートを行った。
スポーツが生活に大きく関わっていることが分かった。その多くがテレビを中心としたものであり我々は多くの情報を手にしている。プロ野球問題にしても大学生の認識度は高く、プロ野球が大きなメディアとして取り上げられていることは確かである。そして注目すべきはサッカーへの関心度が野球を上回ったことである。元野球部であってサッカーのほうに興味があると答えた人もいることからサッカーにかなりの注目度が集まっていることが分かる。
第4章 これからのプロ野球
2004年プロ野球は再編問題で揺れたが、それはメディアに大きく依存していた結果が招いたことだといえる。そしてまた野球界が生まれ変わるよいきっかけともいえる。
今後のプロ野球はサッカーのような地域密着型のスポーツへと変化することが求められるのではないだろうか。サッカーはそうすることで少しずつ人気を得るようになり、今では野球以上の関心度を集めていると言える。
新たに迎えた2005年のプロ野球はロッテの優勝や交流戦で盛り上がった。こうした盛り上がりを伝えることがプロ野球にもメディアにも必要となってくるのではないだろうか。
おわりに
メディアとスポーツはともに成長し今に至っている。スポーツの発展はメディアがあってからこそと言えるだろう。しかし関係を築いていく中でスポーツはメディアによって変化を求められ、メディアのためのスポーツへと変ってきてしまっている。もはやメディアとスポーツは切り離すことはできない。今後も驚くべきスピードでメディアは発達し、また新たなスポーツとの関係を築いていくだろう。しかしまた問題は必ず出てくる。メディアとスポーツが深く関係している以上必ず問題は起こるのである。メディアとスポーツが共に発展していくことが望まれるのだが、現代のメディアとスポーツの緊密な関係を見る限りは難しいのかもしれない。
参考文献
・朝日新聞スポーツ部(著)『スト決行 プロ野球が消えた2日間』2004年、東京(朝日新聞社、222pp)
・小林至(著)『合併、売却、新規参入。たかが…されどプロ野球!』2004年、東京(宝島社>、238pp)
・神原直幸(著)『メディアスポーツの視点』2001年、東京(学文社、203pp)
・坂井保之(著)『激動!ニッポンプロ野球』2004年、東京(生活情報センター、192pp)
・谷口源太郎(著)『スポーツを殺すもの』2002年、東京(花伝社、258pp)
・玉木正之(著)『スポーツ解体新書』2003年、東京(NHK出版、246pp)
・盛山和夫(著)『社会調査法入門』2004年、東京(有斐閣ブックス、324pp)
・橋本純一(著)『現代メディアスポーツ論』2002年、京都(世界思想社、306pp)
・メディア総合研究所(編)『スポーツ放送権ビジネス最前線』2001年、東京(花伝社、81pp)
参考URL
・Jリーグ公式ホームページ
http://www.j-league.or.jp/
・日本プロ野球選手会公式ホームページ
http://jpbpa.net/
・日本野球機構オフィシャルサイト
http://www.npb.or.jp/
・プロ野球チーム存続を訴える会
http://uttaeru.mxx.jp/