情報操作・情報捏造についての研究

0248093 増田 直紀

はじめに

 現代の社会が情報社会であることは、もはや疑いようがない。世の中に情報が溢れ、求める情報がすぐに手に入る反面、必要としない間違った情報も手の内に入ってくる。発信者が間違いに気づかずに発信している場合もあるが、わざと間違った情報を発信しているものもある。情報操作・捏造である。どのように行われて、私たちにどのように作用しているのかをこの論文で研究する。

第1章 情報操作の意味と目的

 1-1 情報とは

 【情報】 〔information〕ある特定の目的について、適切な判断を下したり、行動の意思決定に役立つ資料や知識。

 1-2 情報操作

 情報によって人が行動の意思決定をしている限り、情報を操作すれば、人間を操作出来る。そのために正しい情報を操作する情報操作や、元々ありもしない情報を作り出す情報捏造が行われるのである。この論文では情報操作を次のように定義する。

 情報の送り手が、受け手側が送り手の意図する行動をおこすように情報を加工し、流すこと。

 1-3 情報操作の目的

  1-3-1 権力誇示 政治的権力を世に知らしめるために行う。

  1-3-2 集団形成 宗教などの勧誘の際に行う。

  1-3-3 団結力の向上 集団内の結束を強めるときに行う。

  1-3-4 広告 商品が売れるようにイメージを植えつけるために行う。

第2章 情報操作の歴史

 2-1 権力誇示の歴史

 ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)の軍事パレードや、コインに自らの肖像を入れるなどの政治的権力を誇示することから、情報操作が始まった。国内では、奈良時代の古墳や、大仏、大名の城などもこれにあたる。海外に目を向けると、ピラミッドや万里の長城など、枚挙にいとまがない。

 2-2 戦争における情報操作

  2-2-1 ナポレオン

 遠征軍を結成し、戦うことにより祖国がいかに潤うかを説き、遠征軍の指揮を高めていた。

  2-2-2 羽柴秀吉

 羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)は、鳥取城攻めを行う際にまず、「今年は東北地方が不作だ」と嘘の情報を鳥取で流した。その後、「東北地方の船だ。米を倍の値段で買う。」と嘘をついて、鳥取城の城兵から鳥取城の備蓄米を買占めたうえで、鳥取城周辺に火を放った。周囲の住民が鳥取城に逃げ込み、鳥取城が極度の飢餓状態に陥ったところで攻め入ったのである。敵を翻弄させるのも、情報操作の重要な役割である。

  2-2-3 ナチス・ドイツ

 戦時の情報操作の重要性を考え、宣伝省という政府機関を設け、情報操作の天才と言われたゲッベルスにその長を務めさせ、マス・メディアをその支配下においたアドルフ・ヒトラー。その情報操作能力を生かし、ドイツ軍は独自の暗号機「エニグマ」を開発し、連合国軍を苦しませた。

  2-2-4 太平洋戦争における日米

 日米の海軍が戦ったミッドウェー海戦の結果についての報道が、日本側と米国側で異なるものであった。しかも、どちらも正確な情報ではなかったのだ。

 2-3 マス・メディアによる情報操作

  2-3-1 新聞による情報操作

 情報をいち早く伝達してくれる手段の一つに新聞がある。しかし、新聞の情報が全て正しいとは限らない。新聞社も利益を得るために、情報を人々が見たいと思うように伝えなければならないからである。そんな中で起こった情報捏造事件「朝日新聞 サンゴ事件」は大きな波紋を呼んだ。(「朝日珊瑚事件を語り継ぐサイト」を参照することを薦める。)

  2-3-2 テレビによる情報操作

 新聞と同じ理由によって、テレビでも情報操作・捏造が行われる。過去にも多数の「ヤラセ」の事例が起こっているが、いまだにヤラセは行われ続けている。

 第3章 アポロ計画

 この章では、情報に対して「本当に正しい情報か?」と疑いの目を向けるという姿勢を紹介する。アメリカ航空宇宙局・NASAの発表している人類の月面着陸は、本当は嘘だったのではないかという疑いの目が世界中で多くあげられている。

 3-1 アポロ計画概要 (内容割愛)

 3-2 映画による疑い 映画「カプリコン1」に描かれるアポロ計画への疑い。

 3-3 インターネットによる疑い

 国内では、西川渉氏のサイト「航空の現代」が最初だと思われる。それ以外には「セントラル・リサーチ・センター」というサイトも有名である。このサイトの管理人の提案により、3-4で述べるテレビ番組が制作に至った。

 3-4 テレビによる疑い

 セントラル・リサーチ・センターの提案により、テレビ朝日「コレマジ?」という番組で、アポロ計画に対する疑念が放送された。これによって日本国内に一気に疑念が広まった。

 第4章 まとめ

 JR福知山線の事故のときのJR西日本にしても、当初の発表と事件の真相はずれていたし、耐震偽造事件関係者の一連の発言にしても、人によって発言が異なり、誰かが嘘をついているという状況である。JR福知山線の事故や耐震偽造は、自由競争の社会が生み出した事件のように私には思える。戦争にしてもアポロ計画にしても、他者より上位に立ちたいという人間社会が生み出した事件であると私は思う。人間がこの地球上に誕生し、他者より上位に立つという競争が始まったときに、すでに情報操作・捏造は始まっており、今後も人間と情報操作・捏造は切っても切れない関係が続くのではないだろうか。

2006.1.19