2005年度 卒業論文要旨

携帯電話の普及と家族間コミュニケーションの変化



0248088 人文情報学科 福島 伊奈保



はじめに


現代の家族には家の中でも「個人化」が進み、「ホテル家族」という言葉も目にするようになった。
また、1970年に大阪万博で初めて携帯電話が登場して以来、目まぐるしく技術が進歩し、現在では携帯電話は一人1台持つような時代にまで発展した。また、それによって、情報社会の中、家族間のコミュニケーションも様々なメディアによるものが存在するようになった。

そこで私は、このような社会になりつつあるということは、従来の「家族の絆」という観念は既に通じなくなっているのではないか、と考える。
本論では、情報化社会における家族の絆について、携帯電話でのコミュニケーションを例に取り上げ、述べていく。



第1章 日本の戦後の家族構成と家族の絆

1-1 戦後直後の家族と家族の絆
1-2 70〜80年代の家族構成と家族の絆
1-3 現代の家族構成と家族の絆


第1章では、戦後の家族から、現代の家族のあり方がどのように変化しているのか、その変化と共に家族の絆はどうなのかを、時代時代の家族の特徴を述べながら家族の絆が本当に希薄化しているのかを述べていく。  

第2章 携帯電話の発達と家族の関係

2-1 第1世代携帯電話(1G)と家族の関係
2-2 第2世代携帯電話(2G)と家族の関係
2-3 第3世代携帯電話(3G)と家族の関係


第2章では、携帯電話が登場して、初めはビジネス用として普及し、技術の進歩と時代と共に家庭にも普及していった。その家庭にまで普及した携帯電話が家族にどのような影響を与えていったのか、家族自体の形は変わっていったのかを携帯電話の技術の発展と共に述べていく。

第3章 携帯電話の普及と現代家族

3-1 携帯電話と家族
3-2 携帯電話と夫婦
3-3 携帯電話と親子


第3章では、子供がいる家庭を対象に、父親50人、母親60人、子供86人、合計196人にアンケートを行った。このアンケートを基に実際に携帯電話が家族、夫婦、親子にどのような変化や影響を与えているのかを分析し、述べていく。

おわりに


当初の仮説では、情報社会の中、家族間のコミュニケーションも様々なメディアによるものが存在するようになり、従来の「家族の絆」という観念は既に通じなくなっているのではないか、と考え携帯電話でのコミュニケーションを例に取り上げて研究してきた。

しかし、本論の結論としては、携帯電話が普及し、家族一人一人が所持したことによって、家族全体のコミュニケーションが増えたかというと、連絡を取り合う分には増えたが、コミュニケーションという点から、見てみると、特に増えた訳ではないことがわかった。

やはり、顔を見て会話をすることによって家族の絆が深まり、強いと感じるのだということが明らかになった。 昔に比べると、家族のあり方に関しては、大きく変わったが、コミュニケーションに関して、家族の絆を感じる瞬間に関しては、今も昔も変わらないことがわかった。

今回の論文では、アンケートの人数が十分に揃わなかったこと、携帯電話と家族に関しての分析をするには、アンケート内容もまだまだ不十分なことから、次回では、さらに、内容を掘り下げた質問内容を作成すること、第3世代携帯電話(3G)の登場によって追加されたテレビ電話や、写メールの機能が家族にどのような影響を与えているのかも踏まえながら、研究することを今後の課題にしていきたい。