2005年度大谷大学 松川ゼミ
卒業論文 「WEBデザインの現状と将来性について」(要約)


人文情報学科4回生 0248065 中元聡一郎

●序論

本論文ではWebデザインの現状と将来性について
「ユーザビリティとアクセシビリティを考慮したWebデザインの統一化の必要性」
という観点から考えていく。

●第一章 WebとWebデザインについて

 ◆1.0. Webの仕組み

 Webは、もともとテキストのみのデータのやりとりから始まり、
 
 ヴィジュアル要素の重要性が問われるようになり、Webにおける
 ビジュアル要素・構造の設計を行うWebデザイナーという業種が生まれるに至った。

 Webの仕組みの基本的な仕組みはHTML、HTTP、URIの三つである。

 ◆1.1. Webの特性

 Webはコードとテキスト、画像、拡張コード、拡張エレメントの5つの要素から構成されている。

 Webページはブラウザの仕様に影響を受け、OSやディスプレイによっても影響を受ける。
 そのため、Webユーザーの環境によって見た目に違いが生じる。
 また、印刷物とも大きく違い、印刷物よりも一覧性に乏しいといった特性がある。

 ◆1.2. W3Cについて

 W3CはWeb技術の標準化とその推進を目的として活動している。
 強制力は持たないが、W3Cが策定する仕様書はWeb標準として知られ、
 世界的に受け入れられる技術として普及している。

 ◆1.3. 情報インフラの整備とWeb

 現在は高速インターネットの普及が進み、 それによって実現可能となった新しいサービスが次々と登場している。

●第二章 Webデザインの現状について

 ◆2.1. ユーザーの視覚依存

 Webは視覚に依存するメディアであり、Webユーザーの注視時間は非常に短いという事実がある。
 特に現在では、ブロードバンドの普及・サイトの増加等に伴い、
 Webページを高速で表示できるようになり、更に注視時間は短くなってきている。

 ◆2.2. 動きを取り入れるサイトの増加

 現在、Webユーザーの視覚に注視をうながすために、
 様々な動きや変化をサイトに取り入れる手法は一般的である。
 それらにはそれぞれに効果があり、
 Webユーザーのユーザビリティやアクセシビリティを高めるために有効である。

 しかし、逆効果になっているサイトも存在する。

 この原因はWebページにおけるコンテンツ要素とビジュアル要素の関係にある。
 コンテンツ要素とビジュアル要素には相反する要素があるといえる。

 ◆2.3. アクセシビリティとユーザビリティという側面で考える

 しかし、コンテンツ要素とビジュアル要素にはバランスがあり、このバランスのとれたサイトは
 成功事例として数多くある。つまり、コンテンツとビジュアルは相反する要素であるが
 相乗的に高めあう要素であるといえる。

 ユーザビリティやアクセシビリティを高めるためにはユーザコンテンツ要素とビジュアル要素の
 バランスについて考慮する必要性があるといえる。

●第三章 Webデザインの将来性について

 ◆3.0. 情報デザインの必要性

 コンテンツとビジュアルが相反する2つの要素である以上、
 Webユーザーのユーザビリティを高めるためには、そのバランスを考えるために、
 Webデザインを行う上で、それぞれ別々に考えるのではなく、
 それらに共通して根底に流れるもの、
 つまり「いかに情報を伝えるか」という命題について考えることが必要である。

 情報をユーザーに発信して伝える、つまり「情報デザイン」こそがWebデザインの本質である。

 ◆3.1. 情報デザインとは

 一般的に情報デザインはユーザーに合わせて多種多様に変化し続けるものであるが、
 情報を伝えるという一点においては、どのユーザーにも変化なく平等である。
 つまり、情報デザインには変化する側面と変化しない側面があるといえる。

 Webデザインにおいて、統一化を図るためには
 ユーザーに合わせて変化する情報デザインを行う以前に、
 この変化しない側面について意識することが重要である。

 ◆3.2. アクセシビリティの必要性について

 Webページは現在、世間的にアクセシブルであるべきと言われている。
 アクセシビリティを高めることはWeb全体の可能性を高めるうえでも非常に有効である。

 アクセシビリティを高めるために「Web標準化」という考え方がある。
 W3Cでは構造である(XHTMLもしくはHTML)とビジュアル(CSS)を
 分離(別ファイル化)するように推奨している。

 現在ではxhtml+cssを採用するサイトが急増している。
 しかし、現状ではメリットもあればデメリットもある。

 メリットとデメリットを考慮した上での結論としては、
 現状では全ての製作者がCSSに以降するのには難しいといえる。
 しかし、今後のオーサリングツールやユーザーのブラウザのCSSへの対応を
 考えればCSSに以降した方がメリットが大きく、
 アクセシビリティを高めるという点においてはCSSに以降するべきである。
 Webデザインにおける統一化を図る上でもWeb標準化は有効である。

 ◆3.3. 現状でのWeb製作における問題点

 現在では、Webサイトへの要求は高くなり、それを構築するために求められる知識や
 技術のレベルと幅はどんどん高く、広いものになってきている。しかし、
 その需要に対し対応できる人材の絶対数は足りていない。

 混在する要素を増やす要因が製作側にあることが原因である。

 ◆3.4. 今後のWebデザインの将来性、人材不足とWeb標準化

 今後、Webデザインの教育を行う上で、Web標準化を考慮した教育を行うことで
 混在するWebの要素は減少し、Webにおいて統一化を図ることができると考える。

●第四章 今後の課題について

 ◆4.0. 今後の課題について

 Webユーザーの環境はナローバンドからブロードバンド、OSのCSS対応等が進み、
 ある程度統一化されつつあるが、
 Webはユーザーが能動的に情報を得るメディアではあるが、
 情報を発信するメディアである以上、Webデザインを行う側の人間が
 ある程度統一化されたものを製作する必要性があると考える。

 Webユーザーのアクセシビリティとユーザビリティを考慮し、
 Webデザインの統一化を目指すことは今後のWebの発展においても必要不可欠であると考える。

◆参考文献一覧◆

○『情報デザイン-分かりやすさの設計-』  情報デザインアソシエイツ 2002

○『WebSite expert』 技術評論社 2005

○益子貴寛『Web標準の教科書』 秀和システム 2005

○境祐司『Webデザイン基礎』 技術評論社 2005

○『Web creators 8月号』 MDNコーポレーション 2005

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