ネットワーク社会における帝王学−孫子の兵法と現代生活との関係−

人文情報学科 0148109 宮垣 準


 この論文は約2500年前に作られた孫子の兵法に視点を当てて、帝王学として作られた孫子の兵法の捉えられ方が、ネットワーク社会以前と以後の時代でどう変化しているかを調べたものである。

 まず第一章では、孫子の兵法の現在の一般的な出回り方として、インターネットのアマゾンというサイトで「孫子」に関係する本を検索し、出版されている本を内容と出版された年別に種類分けした結果、孫子の兵法を実際の戦争以外に活用、応用するという意味では、大半が経営・ビジネスに生かすという捉えられ方だった。出版冊数も近年増えていている傾向にあった。経営・ビジネスについての孫子の兵法の本を実際読んだ人の意見は賛否両論で、ビジネス本として読みたいのか、孫子の兵法自体を楽しみたいのかによって選び方も違うということがわかった。

 第二章では、実際に孫子の兵法を学んで経営・ビジネスという場で活躍した人として、ネットワーク社会以前はロジャー・エンリコ氏と中條高徳氏、ネットワーク社会以後はビル・ゲイツ氏と孫正義氏の例を挙げた。ネットワーク社会以前の二人(ペプシコーラ、アサヒビール)には、どちらにも普通なら手が届きそうにないコカ・コーラ、キリンビールという一大強敵がいた。そこを、当時誰も手を出さなかった策や誰もが考えつかない策を使うという孫子の兵法で対抗した。ネットワーク社会以後の二人(マイクロソフト、ソフトバンク)は、情報化社会での臨機応変さや情報の重要性とそれらを理解しているリーダーの必要性をいった孫子の兵法で大勢のライバルの中を生き抜いている。

 第三章では、アサヒビールの中條氏の1993年と2002年に出版された著書2冊を比較し、用いられている孫子の兵法の共通点や相違点をまとめた。彼は、自分達のモチベーションを上げるものと一点集中の孫子の兵法を両方に出し、強調している。そして2002年の本の方では新たに、第二章での孫正義氏と同じくリーダーの資質をいった孫子の兵法や、ネットワーク社会ならではの、孫子の兵法を電子ネットワークを使って生かす提案などを述べていた。

 一冊の「孫子」からであっても、時代によって利用する人が注目する言葉や文は全て同じではないことがわかった。ネットワーク社会以前では誰も考えつかないような奇策を使うということから、ネットワーク社会以後では状況に合わせて水のように形を変えるというように孫子の兵法の使われ方が変化してきている。これはその時代や業種ごとに重要とされていることが違ってきたためだ。このことから約2500年経っても使われてきた孫子の兵法は、今の次の時代になっても捉えられ方や注目される箇所を変えて使われていくということである。

 

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