【2009年以前の読書記】
【2009年の読書記】
☆☆江戸の影絵遊び(草思社)
江戸時代の手遊びの一つである影絵のあれこれについて解説した本。江戸時代の影絵文献の多くが翻訳されているのも有用。
中国の復讐者たち ともに天を戴かず(大修館書店)
中国の歴代の正史の中より、復讐に関する記録を抜き出し、検討を加えたもの。引用例は豊富なのだが、結局結論は大して面白くない。
☆☆☆中国乙類図像漫遊記(大修館書店)
最近日中でともにかまびすしい偽造問題について、独自の見解を述べている武田雅哉氏の最新作。様々な図像を題材にして今回も面白く読める一冊だった。 ただ、トイレと嘔吐物の項は飛ばして読んだので、感想不能である。
☆☆☆風俗絵画の文化学(思文閣出版)
立命館大学のアート・リサーチ・センターにおける学際的研究会の成果をまとめたもの。13人の論稿が4部に分けて収められている。
☆☆☆中国神仙詩の世界(汲古書院)
六朝から唐代初期にいたるまでの神仙詩の変遷をたどったもの。神仙思想の歴史としても読めたいへん興味深かった。
☆☆☆百鬼夜行の世界(角川学芸出版)
人間文化研究機構の「異界万華鏡」という企画展をきっかけに作られた百鬼夜行関係の絵画史上の集大成。
☆☆古代中国の虚像と実像(講談社現代新書)
中国の歴史書に書いてあることを頭から事実だと信じてはいけないよという、実に当たり前のことを指摘した書。高校生向き。
☆☆☆深海のフシギな生きもの(幻冬舎)
深海の摩訶不思議な生きものばかりを大きな写真入りで紹介したもの。特に硫化鉄の足を持つフシギな貝SF映画もびっくり!
☆☆古代中国の宇宙論(岩波書店)
儒家や道家の宇宙論に関して最新の出土資料をもとに論じたもの。
☆☆新釈 走れメロス 他四篇(祥伝社文庫)
京大出身の作家による、京大を舞台にしたの一種のパスティーシュ小説集。楽しく読めた。
☆☆江戸の妖怪革命(河出書房新社)
小松先生門下の研究者が書いた江戸時代以降の妖怪の存在形態について様々な分野から整理したもの。あまり新味のある話ではなかったが、引用書籍の多彩さは大変参考になった。
(海竜社)
日本滞在の長い中国人が書いた比較文化論的エッセイ。それほど新味もなく、つまらなかった。
☆☆四コマ漫画(岩波新書)
日本における新聞・雑誌等の四コマ漫画の歴史を追いながら個別の作品を紹介解説した書。
☆☆分類思考の世界(講談社現代新書)
やたら哲学的で難しい内容が書いてあるかと思うと、突然『画図百鬼夜行』やアルチンボルド、はては俵万智まで登場する、分類学の歴史をたどった書。
☆☆錦絵が語る江戸の食(遊子館)
主に歌舞伎を題材にした錦絵の中から江戸時代の食物に関するものばかりを集めて解説を加えたもの。
☆☆☆だまし絵(兵庫県立美術館)
兵庫県立美術館展覧会図禄。
☆☆☆唐代の人は漢詩をどう読んだか(岩波書店)
類書のない、中国音韻学をやさしく解説した本。中文専攻生は必読。
☆☆接客セブンティーズ(ちくま文庫)
清水義範のパスティーシュ100選の第四巻目。
☆☆☆中国出土文献の世界(創文社)
朱淵清『中国出土文献与伝統学術』(華東師範大学出版社)の全訳。巻末に付されている「出土簡帛書籍索引」も大変資料として有効なものである。
☆☆漫画落語傑作選(新潮社)
落語のマンガ化ではなく、落語をヒントにしたまったく新しい漫画全集。
世界の三猿(人文書院)
良くある素人のマニアックなエセ探索書。ただひたすら世界中の三匹の猿を追いかけただけのもの。まず言葉の定義からしっかりしなきゃ何にもならないと思います。
☆☆☆道教の美術
大阪市立美術館で行なわれた展覧会の図録。見所ふんだん。
☆☆☆図説・妖怪画の系譜(ふくろうの本)
京都国際マンガミュージアムで行なわれた特別展の図録。
☆☆怪奇と幻想への回路(森話社)
「日本映画史叢書」の一冊。日本の戦後怪談映画の歴史や最近のJホラーの特質までそれぞれの専門家による論稿がタップリ。
☆☆君当に酔人を恕すべし(農文協)
中国における酒と様々な文化との関わりを紹介したもの。「図説・中国文化百華」シリーズの一冊。
☆☆振仮名の歴史(集英社新書)
期待したほど面白くなかった。
☆☆☆怖い絵3(朝日出版社)
シリーズ完結作。今回もなかなか興味深かった。
☆☆☆中国女神の宇宙(勉誠出版)
原題『中国女神』の全訳。漢族のみでなく、多くの少数民族に伝わる女神伝説が採取されていて参考になる。
☆☆漢語的不思議世界(岩波書店)
日中友好新聞に連載されている「漢語の散歩道」の3冊目の書籍化。
☆☆時間線下り列車(ちくま文庫)
清水義範のパスティーシュ100選の第五巻目。
『史記』と『漢書』(岩波書店)
岩波書店から出ている「書物誕生 あたらしい古典入門」シリーズの中の一冊。初学者向きの書物であり、これといって新しい知見はなし。
☆☆飲膳正要(八坂書房)
元代の料理書の訳注。食べ合わせや仙人の食物の記述などもあって読んでも面白い。
☆☆江戸の数学教科書(集英社インターナショナル)
和算の特徴と代表的な和算家について解説した本。巻末には和算の練習問題も付いている。
☆☆泡沫傑人列伝(ニ玄社)
主に前衛芸術の作家を紹介した書物。中にはわけのわからん人も含まれる。
中国茶碗の考古学(勉誠出版)
出来の悪い卒業論文程度の内容。歴史的事実の記述に間違いが多く、引用されている文献はほとんどが翻訳ものや見当外れのものばかり。まともな引用元さえ書いていない場合が多い。
☆☆☆江戸の花鳥画 博物館をめぐる文化とその表象(スカイドア)
筆者が学習院大学へ提出した博士論文に加筆・訂正したもの。博物学と花鳥画の関係を様々な方面から論じたもの。内容的にも分量的にもなかなか歯ごたえのある良い本であった。
☆☆☆中国の五大小説(上・下)(岩波新書)
中国の明清小説から三国志演義、西遊記、水滸伝、金瓶梅、紅楼夢のご作品を取り上げ、その解説をしたもの。特に下巻の金瓶梅、紅楼夢の項は、なかなかに面白かった。
☆☆和本の海へ(角川選書)
和本の内からユニークな珍本の数かずを解説紹介したもの。巻末の書誌関係の付録も役立つ。
建築探偵桜井京介 館を行く(講談社)
ひとこと「まったくつまらん」
老子の毒・荘子の非常識(風媒社)
中日新聞で連載していた老荘思想の解説本。さほど目新しいところはなかった。
☆☆妖怪ハンター 地・水・天(講談社文庫)
諸星大二郎氏の考古学者・稗田礼二郎を主人公にした連作マンガ。
☆☆ブリューゲルの宴(二元社)
「イメージの森のなかへ」という西洋絵画解説シリーズの中の一書。
☆☆ゼノンのパラドックス(白楊社)
ゼノンのパラドックスを軸に科学の歴史をたどりながら時間や空間に関する様々な考え方を解説したもの。結局半分はわからなかった。
☆☆ねこ耳少女の量子論(PHP)
ねこ耳少女のあいりチャンが量子論を解説してくれるモエ系マンガ。
☆☆マンガは変わる(青土社)
伊藤剛氏のマンガ評論を集大成したもの。全体は表現論・作家論・状況論の三部に分かれている。
昭和マンガ家伝説(平凡社新書)
左翼の論客平岡氏が書いているだけあって、やたらと左翼思想ばかりが出てくる。マンガ家伝説というよりは、 単に自分が読んだマンガのストーリー紹介ばかり。
☆☆名画に描かれた女性たち(ランダムハウス講談社)
代表的な作家数名の描いた女性たちにまつわる絵画を解説したもの。フェルメールの項が一番興味深かった。
☆☆「子供」の図像学(東洋書林)
古代から現代までの西洋美術作品に、子供たちがいかに描かれているかを詳細に論じた本。
☆☆コミック★フィギュア王(ワールドフォトプレス)
70年代から80年代に流行した漫画の新作を書き下ろして載せている。作者のインタビューなど資料的にもなかなか面白い。
☆☆黒影の館(講談社)
篠田真由美の建築探偵桜井京介の事件簿シリーズ。いよいよ最終話目前、京介の出生の秘密が明かされる。舞台はどうやらわが故郷北海道道北。
☆☆☆古代中国人物服式与画法(上海人民美術出版)
中国の古代絵画における人物の描法についてイラストを交えて解説した書。
全国まずいものマップ(ちくま文庫)
清水義範のパスティーシュ100シリーズの三巻目。主に言葉の持つ奇妙さや面白さに注目した作品を収める。
インパクトの瞬間(清水義範)
清水義範のパスティーシュ100シリーズの二巻目。出世作の国語入試問題必勝法を初めとする作品を集めたもの。
猿蟹合戦とは何か(ちくま文庫)
清水義範のパスティーシュ100シリーズの一巻目。表題作を初めとするおとぎ話に題材をとった作品を収める。
☆☆駅弁掛紙ものがたり(けやき出版)
全国に渡って古今の間に発売された駅弁の包み紙ばかりを集めた書。
☆☆漫画ノート(バジリコ株式会社)
いしかわじゅんの漫画に関する様々な評論を集大成した本。
☆☆どちらかが魔女(講談社)
森博嗣の短編推理小説集。シリーズでお馴染みの西の園萌絵らの登場する軽い推理モノ。
フランス語博物誌〈動物篇〉(八坂書房)
フランスに於ける様々な動物の象徴性について解説した辞書風読み物。
モーティマー夫人の不思議な世界地誌(バジリコ株式会社)
19世紀のイギリスに生きたモーティマ夫人という、酒とたばことカトリックが大嫌いなおばさんが記した(ムチャクチャな)世界各国の解説書。
☆☆無頼の画家 曾我蕭白 (新潮社)
最新の曾我蕭白の解説本。著者はおなじみの狩野博幸氏。
☆☆聖母のルネッサンス(岩波書店)
聖母が描かれた様々な絵画を分析した論文集。受胎告知・聖母とスフーン・聖母と書物など大変興味深い論考がたくさん。
☆☆奇想遺産U 世界のとんでも建築物語(新潮社)
朝日新聞で連載している世界中の奇妙な建築物の探訪記。
世界百不思議vol1(講談社)
新雑誌の創刊号。内容はつまんなかった。 
天の川幻想ラフカディオハーン珠玉の絶唱(集英社)
ラフカディオハーンの短編選。『狂歌百物語』の訳をしていたのは驚きだった。 
☆☆目の眼(里文出版)
古美術の雑誌 
☆☆たべもの植物記(山と渓谷社)
食用となる植物や野菜を季節ごとにかいせつしたもの。
☆☆☆妖怪の理・妖怪の檻(角川書店)
京極夏彦氏の「妖怪とは」という論稿をまとめたもの。井上圓了から柳田・江馬さらには小松和彦へと続く妖怪学の流れが良くわかって一読の価値有り。 
☆☆室町絵巻の魔力(吉川弘文館)
 室町の歴代将軍と絵巻のかかわりを論じたもの。なかなか興味深く読めた。 
☆☆大江戸化物細見(小学館)
 アダム・カバット氏の化物シリーズの一冊。今回は黄表紙五種から豆腐小僧・大頭・ろくろ首・河童・鬼娘の五人?を紹介。 
☆☆妖怪画本・狂歌百物語(国書刊行会)
 同書八編の翻刻と『狂歌百鬼夜興之図』を付録として掲載。巻末に妖怪総覧を載せる。 
☆☆誰も知らない中国拉麺之路・(小学館)
 旅行者社社員として中国滞在暦の長い筆者が、自分の足と舌で食べ歩いた様々な中国麺に関する現地報告。 
☆☆魅力の奈良絵本・絵巻(三弥井書店)
 慶応大学が中心になって行われた奈良絵本・絵巻国際会議京都大会の講演録を中心に集めたもの対照図版が少ないのが難点。 
魔よけ百科 世界編(丸善株式会社)
 世界各地を回って魔よけの印を集めたもの。魔よけ研究の第一人者という割には解説が不十分でわかりつくいし、面白さが伝わってこない。 
☆☆中国ポスター(朝日新聞出版社)
 「マオの肖像 毛沢東切手で読み解く近代中国」に続く中国近代史を図像資料を用いてたどった書物。少しだけ歴史的つっくみは足りないが、「マオの肖像」と併せて読むのがよいかも。 
卍・●の博物誌(晃洋書房)
 卍に関する様々に日本の事物について考察を加えたもの。外国編も出るらしい。
☆☆たばこパッケージクロニクル(イカロス出版)
 たばこのパッケージのデザインはもとより様々な知識が満載の一冊。
視覚とマンガ表現(臨川書店)
 科学(視覚の仕組み)に関する解説とマンガについての愚にも付かない駄文をくっつけただけのもの。読む価値なし。
☆☆カンナ 飛鳥の光臨(講談社ノベルズ)
 高田祟史氏の推理小説。得意の歴史ネタから今回は聖徳太子の謎をテーマにしている。出来はもう一つかな。
☆☆☆マオの肖像 毛沢東切手で読み解く近代中国(雄山閣)
 切手の推移を見ながら現代中国史の復習が出来ちゃうお得な一冊。
☆☆☆百鬼夜行絵巻の謎(集英社新書ビジュアル版)
 各種の百鬼夜行絵巻の系譜を明らかにしながら、妖怪のイメージの成立と絵巻の生成過程について論じたもの。 最新の業績が盛り込まれていて、カラー図版も多数載っている。
☆☆龍の本(ビジョン企画出版社)
 岐阜の瑞龍寺という禅寺に龍の障壁画を描いた筆者が、日本の代表的な龍図を例に挙げながら、 感想を綴ったもの。
☆☆表具〈NHK 美の壷〉(NHK出版)
 NHK美の壷シリーズの一作。
☆☆根付〈NHK 美の壷〉(NHK出版)
 お馴染みのシリーズ。
☆☆マンガのなかの他者(臨川書店)
 近代以降の日本人にとっての〈他者〉がどう表現されてきたか、マンガを題材に論じた論文集。
☆☆αで殺菌します(講談社)
 森博嗣氏の「Gシリーズ」ミステリー。なかなか行き先の見えないシリーズです。
津波てんでんこ(新日本出版)
 近代に日本で起こった代表的な津波八つについてのルポ風紹介。とっても暗い気分になる本でした。
☆☆ツチノコの民俗学(青弓社)
 「妖怪」としてのツチノコにスポットをあてた民俗学的ツチノコ学の本。近世以前の広範な資料が引用されていて勉強になった。
☆☆コミック星新一 空への門(秋田書店)
 星新一のショートショートのマンガ版第二弾。
☆☆コミック星新一 午後の恐竜(秋田書店)
 星新一のショートショートのマンガ版。
すすれ!麺の甲子園(新潮社)
 一年半にわたって行なわれた全国の麺類比較のルポルタージュ。うどんそばをはじめ、ラーメンやスパゲティ、更にはもやしやイカソーメン、糸コンニャクまでにも 範囲を広げた全国麺食い紀行になっている。
嗜好品文化を学ぶ人のために(世界思想社)
 学ぶ人のためにシリーズの一冊。嗜好品というユニークなくくり方はすこぶる現代的。但しあまり参考にはならなかった。
中国のめでたい形(エクスプランテ)
 中国の吉祥物の切り絵集です。
日本のめでたい形(エクスプランテ)
 日本の吉祥物の切り絵集です。
☆☆江戸化物草紙(小学館)
 アダム・カバット氏の江戸時代の黄表紙や合刊における化物シリーズの一冊。今回は、 十返舎一九の草双紙を中心に紹介している。
【図解】「日本の七不思議」ミステリー(PHP研究所)
 日本各地の遺跡や建築物、生物などにまつわる不思議を集めたもの。
芸術新潮2008/11(新潮社)
 特集は生誕80周年記念 手塚治虫を知るためのQ&A100
左対右 きき手大研究(化学同人)
 結局きき手については何一つ判っていないということがわかった。そういう意味では血液型占いとそう変わらない。
☆☆女性と美の比較文化(勁草書房)
 女性問題と美について様々な視点から論じたもの。内容に精粗があるのが気になった。
☆☆コミック星新一 ショートショート招待席(秋田文庫)
 星新一の短編を漫画化した作品集。
☆☆虫の顔(八坂書房)
 昆虫類の顔のアップばかりを精微名イラストで紹介している。非常にユニークで面白いが、昆虫が苦手なので、ちょっと気色悪い。
鯨の話し(中央公論社・自然選書)
 なかなかに興味深い話しばかりなのだが、何せ書かれた時期が古い。最新の情報を知りたい人には不向き。
平安貴族の夢分析(吉川弘文館)
 歴史学者らしいとらえ方で、平安朝の貴族たちの夢を分析している。ただ、当時の夢を 創作と事実とに厳密に分類することにどれほど意味があるのか、よく分からない。さすが歴史学者で、 こんな面白いテーマが実に無味乾燥でつまらないものになっている。
☆☆日本料理の歴史(吉川弘文館)
 茶道の研究家が書いた日本料理の歴史に関する本。 大饗料理から本膳料理・精進料理と続く京都を中心とした日本料理について書かれている。
☆☆θは遊んでくれたよ(講談社)
 森博嗣さんの推理小説の「Gシリーズ」の五作目。
☆☆☆岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎(文藝新書)
 辻惟雄先生の岩佐又兵衛研究の最新集大成。これまでの見解を大幅に訂正した部分もある。巻末には又兵衛研究のための 参考文献や作品リスト、年譜などの資料も付けられている。新書版にしては珍しいことに、全図版がカラー印刷になっている。
☆☆漫画の奥義(知恵の森文庫)
 手塚治虫の生前に行なったインタビュー集。マンガの歴史や自身のマンガ論を語ったもの。
☆☆図説「見立」と「やつし」 日本文化の表現技法(八木書店)
 浮世絵をはじめとする様々な芸能・文化おける見立てとやつしについて論じ、紹介したもの。特に近世以降の両者の混同と誤用についての最新の研究を含む。
卍の魔力、巴の呪力 家紋おもしろ語り(新潮社)
 日本の家紋について、表題にあるように形による分類をして解説をしている。 最後には、家紋の作図法も載っている。
☆☆☆さかさまの幽霊(ちくま学芸文庫)
 歌舞伎と浮世絵を題材に江戸時代の文化芸能について論じたもの。なかなかに興味深い論稿が数多くおさめられている。
掃苔しましょう(集英社新書)
 東京各所の墓めぐりのガイドブック。事実だけを列挙していて面白みは全くなし。読むものじゃなくて墓所探索のお供。
鹿内スミ子写真集 彩景
 故郷北海道ニセコの写真集を同級生が送ってくれました。懐かしい風景ばかりの写真集でした。
☆☆釣り人のための遊遊さかな大図鑑―釣魚写真大全(エンターブレイン)
 釣好きが釣り上げた魚が何かを瞬時に判別するための非常に便利な図鑑。魚好きは必携。
☆☆☆日本のロゴ(1・2)(成美堂出版)
 日本の会社や学校などのロゴや登録商標を集めて解説したもの。2より1のほうが面白かった。
☆☆対談集 妖怪大談義(角川文庫)
 京極夏彦氏と各界の妖怪にまつわる人々との対談集を集めたもの。小松和彦氏との対談と西山克氏との対談を読み比べると、 同じような研究をしていながら、立場が違うと随分異なるものだなと思わせるものがあって、興味深かった。
☆☆動物奇想天外 江戸の動物百態(青幻舎)
 江戸時代に描かれた様々な動物の絵画を紹介し、博物学的解説を加えたもの。単なる動物だけではなく、河童や無視なども含まれている。
新編 俳諧博物誌(岩波文庫)
 俳句の中から動植物を題材にした作品を収集し薀蓄をたれたアンソロジー集。
☆☆KAZARI 日本美の情熱(NHKプロモーション)
 京都文化博物館で行なわれたKAZARI展の図録。
☆☆☆中国工芸の精華 鼻煙壷 沖正一郎コレクション(大阪市立東洋陶磁美術館)
 大阪の東洋陶磁美術館で行なわれた鼻煙壷展の図録。
☆☆百鬼夜行絵巻をよむ(ふくろうの本)
 各種の百鬼夜行関係の絵巻を読み解きそれらの関係をさぐっている。特に『付喪神絵巻』は興味ぶかかった。
☆☆中国B級スポットおもしろ大全(新潮社)
 中国のくだらない土地やものの最新写真集。
☆☆異界と日本人(角川選書)
 小松和彦氏による古代から近代までの異界物語研究。絵巻物も豊富に利用していておもしろい。
☆☆中国年画の世界(淡交社)
 年画のカラー図像集。
無印中世の秋の画家たち(新潮社)
 フランドルの画家たちに関する評論集だが、文章が気取りすぎてて訳がわかんない。通読不能。
星新一 空想工房へようこそ(新潮社)
 同じ著者の『星新一 一〇〇一話をつくった人』のビジュアル版資料集。
古典落語傑作選 まんが寄席(木耳社)
 暇つぶしにどうぞ。
江戸怪奇標本箱(柏書房)
 江戸時代の怪奇・不思議なはなしをおつめたもの。意外と陳腐なものばかり。
☆☆大江戸化物図譜(小学館)
 様々な草双紙に描かれた妖怪たちの図像資料集。特に「豆腐小僧」「河童」「大頭」「ろくろ首」「鬼娘」の五種に絞っている。なかなか愉快。
☆☆怖い絵 2(朝日出版社)
 前作に続く西洋絵画の解説集。前作同様なかなか面白かった。
クマグスの森 南方熊楠の見た宇宙(新潮社)
 2007年に開催されたクマグス展を記念した出されたビジュアル版資料集
子どもたちは象をどう量ったのか?(柏書房)
 江戸時代の寺子屋での学習状態を往来物などの図像資料を用いて解説したもの。内容はもうひとつ。
☆☆[完本]大江戸料理帖(新潮社)
 『豆腐百珍』のコンビによる江戸料理再現集追いそうな料理がいっぱい。
無印日本語てにをはルール(すばね舎)
 日本語作文読本。あまり役に立ちそうもないし、納得できないところが多すぎ。
北斎 漫画と春画(新潮社)
 北斎漫画をテーマ別に解説したものと、北斎の春画に関しての解説。少し物足りない。
老子的伝説(寧夏人民出版)
 『老子道徳経』の現代語訳と『史記』の中の老子、世俗の老子について述べたもの。付録として歴代の簡単な道教的詩歌紹介を付す。
なぜ、江戸の庶民は時間に正確だったのか(実業之日本社)
 時代考証家の書いた薀蓄本。思ったほど面白くない。知識の底が浅くって信憑性も?マークいっぱい。
☆☆白川静さんに学ぶ漢字は怖い。(集英社新書)
  白川静さんに学ぶ漢字は楽しいの続編の白川文字学の入門書。たいした新味はなし。むしろ白川先生が荒川静のファンだったという話しが新情報。
☆☆空想キッチン(ナレッジエンタ読本)
  有名アニメに登場する食べ物についてごちゃごちゃ薀蓄をタレながら再現もしてみちゃったくだらないけど愉快な本。クエン酸が日本語だったなんて!辛さを表す単位があったなんて!
☆☆中国名文選(岩波新書)
  興膳宏先生による中国古典の解説書。単なる名文紹介ではなく、序章はそのまま中国訓読文の概説になっている。
☆☆歌舞伎のかわいい衣裳図鑑(小学館)
  市川染五郎監修の衣裳から小物、小道具までを紹介したビジュアル図鑑。
☆☆台湾 好吃大全(新潮社)
  台湾の伝統食から現代の流行まで広く網羅した料理案内。
☆☆☆奇想の江戸挿絵(集英社新書)
  辻惟雄先生の奇想シリーズ。今回は江戸時代の読本に付された挿絵の中から愉快な作品について紹介と解説を行なう。北斎がこの分野でもダントツの才能を誇るということらしい。
☆☆反芸術アンパン(ちくま文庫)
  1960年代に起こった前衛芸術の熱気を「読売アンデパンダン」展を中心に振り返った。
☆☆☆異能の画家 伊藤若冲(新潮社)
  おなじみ若冲さんの解説書。いろいろな意味で言うことなし。
☆☆☆漫画原論(ちくま学芸文庫)
  漫画の文法書というか、漫画修辞論というか、なかなかに目からうろこの一冊です。参考文献をつけてくれれば言うことなしなんだけどな。
☆☆☆豆腐百珍(新潮社) 
  江戸時代に出版された料理本を元にその料理を復元し、材料やレシピも紹介している。とにかくどれもうまそう!巻末には「豆腐の故郷を訪ねて」という中国訪問記も載っている。
☆☆鯰―イメージとその素顔―(八坂書房)
 「滋賀県立琵琶湖博物館ポピュラーサイエンス」シリーズの1冊目として刊行された鯰の博物誌。 昔、寮生活をしていた頃、よく鯰を捕まえて食べていた寮生がいた。泥を吐かせるため、水槽の中で飼われているのを目にしたが、とても可愛い 顔をしていて、なかなか食べる気はしなかった。
☆☆☆酔うて候―河鍋暁斎と幕末明治の書画会(思文閣出版)
 成田山書道美術館と徳島県文学書道館で行なわれた同名の展覧会の図録。暁斎の作品の中から直販会や 席画の作を中心に集められたもの。電信柱の絵というのは初めて見た。びっくり!!
ルソーの夢―イメージの森の中へ(二玄社)
 ルソーの絵を解説したものだが、まるで絵本のような作りになっている。
☆☆☆「雲」の楽しみ方(河出書房新社)
 雲の分類とその科学的解説が主だが、文章自体が非常に面白く、読んでいて楽しめる本である。
☆☆☆現代マンガの全体像(双葉文庫)
 日本におけるマンガ評論の不毛を嘆いた第一部と、マンガ史をまとめた第二部。20名の マンガ家を取り上げた作家論からなる。独自の視点で綴られており、一読の価値あり。
ズバリ図解 孫子の兵法(ぶんか社文庫)
 ビジネスマン向けの孫子の兵法の解説書。
☆☆名画動物園 近現代動物画の精華(勉誠出版)
 動物たちを描いた近現代の美術作品を集めたもの。
☆☆☆絵画の冒険者 暁斎 近代へ架ける橋(京都国立博物館)
 京博で行なわれた展覧会の図録。現物を見られなかったのが、くれぐれも残念。 何を書いてもどこかにユーモアのある絵だと感じた。
☆☆☆しあわせ絵あわせ音あわせ 中国ハッピー図像入門(NHK出版)
 NHKの中国語講座の副読本として書かれた一冊。中国の吉祥物について、分かりやすく紹介されている。 ただひとつ欠点を言うなら、一般向けということを意識しすぎて、多少文章が軽薄になりすぎている。
☆☆☆奇想遺産 世界のふしぎ建築物語(新潮社)
 朝日新聞の日曜版に連載されているものをまとめたもの。世界中の奇妙な建築物を訪ね、写真におさめたもの。 現在も連載は続いている。
☆☆☆紙芝居がやってきた(河出書房新社)
 紙芝居の原画を多数紹介しながらその歴史を綴ったもの。巻末に参考文献の一覧や戦後の貸元一覧があり有用。
表現1(ミネルヴァ書房)
 京都精華大学文字文明研究所が発行していた雑誌『文字』の後継雑誌。
☆☆食べ物考古学(学生社)
 縄文時代から江戸時代まで各時代の食事についてを考古学の出土物から探ったもの。かながわ考古学財団主催の講演会の筆記録。
からだの日本文化(潮出版社)
 年寄りが採りとめもなく書き散らしたむだばなしは読んでて辛い多田道太郎でもこんなつまんないもの書くんだと思いました。
バイリンガル版天才バカボン(講談社)
 英語訳したセリフに日本語のルビが付いているという形の漫画本です。
サイエンス言誤学(朝日文庫)
 やっぱりセンコウ臭さが鼻につき、雑学自慢としか思えない。
☆☆☆天狗はどこから来たか(大修館書店)
 中国の天狗(テンコウ)が日本に伝来して天狗(テング)になるまでの経過を仏教を軸に図像学の手法も用いて明確にしている。天狗研究には必読。
☆☆笑いとしての陶淵明(五月書房)
 陶淵明の詩をこれまでのものとは違う視点から読み解いている。あまり「笑い」を期待しすぎるとがっかりしますが、興味深い指摘もあって一読の価値有り。
空海と中国文化(大修館書店)
 前半は空海の伝記、後半は詩・書を中心に日本文化に与えた影響について解説。もうひとつ面白みに欠ける。
飛びすぎる教室(講談社文庫)
 毒の無い清水義範なんて面白くもなんとも無い。教員志望者という過去の遺物が捨てられないみたいでどうもセンコウ臭さが鼻につく。
声の文化と文字の文化(藤原書店)
 音声言語から表記言語へ移り変わることによって文化の形態がいかに変化したかについて考察した本。さいごは電子化にまで触れる。内容は専門的。
☆☆色男の研究(角川選書)
 日本や西洋における、色男、ドン・ファン、ダンディなどの違いや歴史などを考察した本。主に文学作品を対象としているが、 時に漫画や映画、絵画などにも話題は及ぶ。また、明治以降の「恋愛」の登場についても考察を加えている。
☆☆陸游詩選(岩波文庫)
 久々に陸游の詩をじっくり読んだが、編々食べ物を読み込んでいるなど唐詩とはまた異なった風情を感じた。「猫に贈る」の詩もほほえましくて良いが、八十四歳になってなお「もし愁い無くんば 詩を得べけんや」という一句をものにするあたりは、さすが憂国詩人と呼ばれるだけのことはあるなと感心させられた。
☆☆☆綺想謎画大全(飛鳥新社)
 中野美代子先生が中国はもとより西洋やイスラムの絵画を題材に筆の赴くままに薀蓄を傾けた書。実に面白い。図像学はかくありたし。
史記の正統(講談社学術文庫)
 史記の年代問題を論じた本。完全に専門家向き。暦の問題は苦手です。半分も理解できなかった。
☆☆中国人の思考様式(講談社現代新書)
 中国の近現代小説を中心に、日本や西洋の小説と比較することによって、中国人のものの考え方の特徴を探った本。
☆☆☆江戸絵画万華鏡 第五巻 大江戸カルチャーブックス(青幻舎)
 江戸時代の絵画を戯れ絵の視点から紹介。図版多数で面白い。
☆☆☆澁澤龍彦幻想美術館(平凡社)
 澁澤龍彦にまつわる絵画や写真・オブジェなどを集大成した写真集。氏の伝記としても交遊録としても楽しめる一冊
☆☆☆中国古典小説選6 唐代V 広異記ほか(明治書院)
 漢魏・六朝に続く唐代。シリーズ六冊目。中唐の小説類の抄訳が中心。
☆☆図説 中国・食の文化誌(原書房)
 王仁湘の『往古的滋味―中国飲食的歴史与文化』の全訳本。考古学的に様々な方面から中国の食文化にせまる研究書。
☆☆星新一 1001話をつくった人(新潮社)
 星新一の大作伝記。星新一ファンとしては涙ものの労作。
☆☆サマルカンドの金の桃―唐代の異国文化の研究(勉誠出版)
 唐代に世界中から入ってきた文物に関して考証した書。中国文化研究のためには必読。日本に残る当時の文物についても触れられている。
無星新アラビアンナイト(集英社文庫)
 イスラム文化にはまった清水氏が書いたつまんないメルヘン集。笑いのない清水義範なんて、と思うのは僕だけ。
無星食文化の風景学(技報堂出版)
 景観工学という学問を専門としている著者が書いている本なのだが、学問的でもあるようなないような、単なる趣味人の道楽書きのような、どうでもいいような、そんな内容でした。
☆☆実録 放送禁止作品(三才ブックス)
 TVの特撮番組やドラマの中で再放送やビデオ化がされないわけあり番組に関する考証本。映画や歌謡曲に関しても収載。
無星「ビミョーな未来」をどう生きるか (ちくまプリマー新書)
 仕事上仕方なく読んだが、つまらないしくだらない。文章も若者に媚びすぎて厭味でへたくそ。読む価値なし。 
京極夏彦が選ぶ!水木しげる未収録短編集 (ちくま文庫)
 まぁ暇つぶしにはいいんじゃないですか。 
☆☆中国思想史(東京大学出版会)
 大学生向けテキスト。近現代の思想史についても割りと詳しく解説してある。 
☆☆☆しぐさの民俗学(ミネルヴァ書房)
 日常で何気なく用いている様々なしぐさに関して民族的に追求した良書。オススメの一冊。 
怪力乱神(中央公論新社)
 古代中国における怪力乱神の話題集。内容は新味もなくてもう一つ。ただ漢文の原文と書き下し文が提示してあるのは好感が持てる。高校生か退職後の趣味人向け。 
☆☆紙芝居と<不気味なもの>たちの近代(青弓社)
 こんなに面白そうな題名なのに、出だしはこうです。「本書の目的は嫌悪や恐怖の感情と他者の忌避や排除のかかわりあいに関する従来の理論を、近年の美学的権力論と精神分析的メディア論の成果をふまえながら、新たに問い直すことだ。」この文章のように著者は大変まじめに学術的に論じておられるのだか、いっこうに読む人間を楽しませようとか、おもしろがらせようという気はないらしく、内容的は大変興味深いだけにとにかく文章としてつまらないところが残念。
漢字遊び解体新書(大修館書店)
 いろいろな漢字パズルを紹介した本。 
☆☆☆文読む姿の東西(慶應義塾大学出版会)
 東西の絵画に読書が如何に描かれてきたかの論文10編を集めたもの。 
京都ご利益手帖光村推古書院)
 京都各神社のご利益とお守りを紹介したガイドブックの一種。 
☆☆>陶淵明像の生成 どのように伝記は作られたか(笠間書院)
  歴代の陶淵明伝の成り立ちと研究の足跡を丹念に考証した書。
☆☆☆>箆棒な人々(河出文庫)
  戦後のサブカルチャーを牽引した4名の人物とのインタビュー集。最近話題になった「おふくろさん」の作詞家で月光仮面の原作者川内康範氏篇を始めどの人物のインタビューもおもしろかったのだが、ダダカンこと糸井貫二氏篇は最高。オススメの一冊。 
☆☆錦絵の中の朝鮮と中国:幕末・明治の日本字のまなざし【カラー版】(岩波書店)
 現代日本人の中に根強く残る朝鮮人・中国人に対する反感や差別の源泉の一つに明治期の錦絵による情報操作があるということをあらためて教えてくれる良書。
☆☆☆江戸300年の女性美 第六巻(青幻舎)
 江戸時代の化粧法や髪型について浮世絵や現存品など様々なビジュアル資料によって解説した本。特に髪型は鬘の実物が掲載されていてわかりやすい。

【2007年以前の読書記】

疑史世界伝
(集英社)
 清水義範氏には『偽史日本伝』という作品もあって、そちらは大変面白く呼んだのだが、今回は大失敗作。説教臭かったり、文体と内容が合わなかったり、愚痴が多すぎたり、「あわただ史記」なんてのはどう見てもやっつけ仕事。 
☆☆☆前巷説百物語(角川書店)
 巷説百物語のシリーズ最新作。又一がまだ御行になる以前というか、なぜ御行になったかというあたりの話。いつもどうり読みごたえあり。 
エレクトリックな科学革命(早川書房)
 電気にまつわる様々な発見・発明物語をつづったもの。内容は興味深いんだけど、懲りすぎて失敗かな
旧怪談(メディアファクトリー)
 『耳嚢』の翻案集。京極さんの作品にしてはもうひとつ。
ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ(光文社新書)
 肝心の海洋動物学の話より内輪の楽屋話ばかり多すぎて期待はずれ。テレビにも出てたけどあんまり面白くなかった。
☆☆中国版画研究No5(日中藝術研究会)
 中国及びアジアの民間版画に関する論文集。今号の中では三山陵氏の「年画概念の変容について」という論稿が興味深かった。
☆☆トリックスター群像(筑摩書房)
 中国の五代長編小説をトリックスターという視点から読み解いたもの。井波先生の本はどれも面白い。
☆☆生物と無生物のあいだ(講談社新書)
 今年評判のベストセラーの一冊だったが、思ったほど面白くなかった。生物の定義が「事後複製」にあるのではなく、「動的な流れ」にあるということを延々と説明した内容だった。本筋よりも、ロックフェラー財団のロックフェラー医学研究所の野口英世に対する評価が日本のそれとは全く違うという話が一番興味深かった。
☆☆毒草師(幻冬舎)
 高田崇史氏のQEDシリーズの中の登場人物である毒草師御名形史紋を主人公にした推理小説。いわゆる密室ものだったが、大変面白く読めた。
☆☆中国古典小説選 第7巻(明治書院)
 シリーズのうち宋代の伝奇小説を翻訳したもの。長編ものが多かったが、短編を含めた『夷堅志』が一番面白かった。
一角獣の繭(講談社ノベルズ)
 篠田真由美の建築探偵桜井京介が活躍するシリーズ物推理小説。本シリーズもいよいよ終了か。
動物妖怪譚(中公文庫)
 日本における動物妖怪の類話を集めたもの。引用される資料の豊富さには驚かされる。本職は植物学者で妖怪研究は趣味だそうな。頭書に「趣味研究」動物妖怪譚とつく。
☆☆日本絵画と歳時(ぺりかん社)
 屏風絵などを景物画という新しい視点でとらえた論稿集。四季の、月次の、名所の景物という捕らえ方で日本美術の流れを描き出す。
☆☆美術屋・百兵衛(麗人社)
 美術・食・神社/仏閣まであらゆる京都文化の特集号。
☆☆全像山海經図比較・七冊(学苑出版社)
 山海繼の様々な版本に附載される図像を比較考察したもの。中文書。
☆☆古本山海經図説・上下(広西師範大学出版社)
 山海繼の様々な版本に附載される図像を比較考察したもの。中文書。
☆☆唐代銅鏡与唐詩(思文閣出版)
 唐代の銅鏡をテーマ別に紹介し、それに関連する唐詩を附載した現代版詠物詩集。中文書。
ウサギの日本文化史(世界思想社)
 前半は日本に各地おける兎神信仰に関する考察。後半は実際の兎狩りのアレコレ。捕まえ方から縛り方、裁き方、料理法まで。ちょっと微視的で読みづらい。
☆☆☆戦後少女マンガ史(ちくま文庫)
 少女マンガ史の決定版巻末の年表のスゴサにも脱帽。この分野の研究には必読。
☆☆へんな言葉の通になる(祥伝社新書)
 日本語の擬音語擬態語についての本。なかなか興味深く面白く読めたのはあまり学問的でなくへんな理屈をこねてないからかな。ただやたら「日本語はすばらしい言葉」だって言う主張が鼻につく。擬音語擬態語に関しては中国だってなかなかのものだと思います。
☆☆MESHI/飯(PIE BOOKS)
 江戸時代の料理書を参考にいろいろな○○飯を作って紹介した本。全て黒い器に盛られるというなかなか凝っていてオシャレな本でした。
☆☆☆イナイ×イナイ・キラレ×キラレ(講談社ノベルズ)
 森博司の推理小説の新シリーズ2冊。Xシリーズということだが主人公らしき探偵の椙田もどこかで登場したような、さらに西之園なんて登場人物まで出てきて前シリーズといろいろリンクしてそうです。まだまだ軽い話で、今後どう展開していくのか楽しみです。一週間で二冊読破できたって事は結構熱中してたのかもしれない。
☆☆へんな言葉の通になる(祥伝社新書)
 日本語の擬音語擬態語についての本。なかなか興味深く面白く読めたのはあまり学問的でなくへんな理屈をこねてないからかな。ただやたら「日本語はすばらしい言葉」だって言う主張が鼻につく。擬音語擬態語に関しては中国だってなかなかのものだと思います。
☆☆☆世界のキノコ切手(プチグラパブリッシング)
 文字通りキノコの切手ばかりを集めた本。本の中で対談している切手&キノコマニアの話もなかなか面白い。是非おすすめの一冊。
☆☆☆古本山海經圖説(上下)(広西師範大学出版社)
 明清時代に描かれた山海經圖のいくつかを比較対照したもの。一杯やりながら、ぱらぱらページをめくれば不思議な世界に没入できること請け合い。淵明の気持ちが少しは理解できたような気がする。
KINO VOL.1(河出書房新社)
 京都精華大学が出している評論集。Vol.1はここ三十年の間にメガヒットを記録したマンガの特集。
KINO VOL.2(河出書房新社)
 Vol.2は「思考としての『ガンダム』」と題して、様々な視点からガンダムを分析する。
KINO VOL.3(河出書房新社)
 Vol.3は京都学の特集。
KINO VOL.4(河出書房新社)
 Vol.4は時代劇マンガに関する特集。
☆☆日本が生んだ世界の画人―画狂人 葛飾北斎展(葛飾北斎美術館)
 高島屋で行われた北斎展の図録。
☆☆☆怖い絵(朝日出版社)
 西洋絵画の背後に隠された恐怖がひしひしと伝わってくる名著。久々のおすすめ書。
☆☆謎解き広重「江戸百」(集英社新書)
 広重の代表作である「名所江戸百景」の約半数を読み解いたもの。巻末にカラーで絵索引がついていて、便利。
目からウロコの日中比較文化論―ことば・文化・芸術―(駿河台出版)
 現在松山大学で教鞭をとっておられる鄭麗芸女史(専門は書道)の、日本と中国での漢字の使い方の差異についての随筆と専門の書道に関する随筆をまとめたもの。
☆☆メディアの中のマンガ(臨川書店)
 新聞一コママンガ「カートゥーン」についての研究書。第U章では、欧米・日本のカートゥーンの歴史がまとめられている。 第V章では、これまでのカートゥーン研究の歩みがまとめられ、第W章では実際に事例研究を行っている。巻末には「引用・参考文献」もあり、 新聞一コママンガを研究する際には必読の書。
☆☆☆差別と向き合うマンガたち(臨川書店)
 部落問題研究所の機関誌『人権と部落問題』に連載されたものに加筆したもの。大きく、マンガと表現・マンガと歴史叙述・マンガと現代思想の三部に 分かれていて、どの項目にも「もっと考えたいあなたのために」という解説もついていて、マンガ研究のひとつの方向として、必読の書。
☆☆女ことばはどこへ消えたか?(光文社新書)
 江戸・明治・現代の女性言葉の変遷をたどった本。江戸時代の資料としては『浮世風呂』を、明治の資料としては漱石の『三四郎』を使っている。 更に現代の言葉については、最も女らしい女ことばとしてニューハーフの言葉を分析している。巻末には「女ことば」に関する主要文献一覧が載っていて 便利。
神々の物語(草風社)
 手塚治虫の描いたマンガの内から先の大戦やベトナム戦争に題材をとった短編ばかりを集めたもの。結構泣けました。
書林の眺望(平凡社)
 井上進氏の著書『中国出版文化史』の補遺篇的書物。中国の書物や主に三重県の書誌学的調査の報告などが含まれる。
☆☆☆中国娼妓史(団結出版社)
 中国における花街に関する書物。古代より近・現代まで娼妓の歴史をたどるとともに男色の歴史などについても触れている。なかなかに色っぽい挿絵満載の一書。中国語。
☆☆中国俗神―彩色図文本(団結出版社)
 中国の様々な神様を解説したもの。図版多し。中国語。
奇想科学の冒険 (平凡社新書)
 学天則の西村真琴など明治期の変わったおじさんたちの略伝集。加藤弘之に対する評価など少し異論もあり。
☆☆☆グリフィンの飛翔(雄山閣)
 古代の図像でおなじみのライオンと鷲の合成獣であるグリフォンの時代・地域による変遷を詳細にたどった研究書。少し内容が高度なのと簡潔なまとめがほしい気もするが、中国にまで筆が及び、一読の価値有り。
法隆寺一切経と聖徳太子信仰(大谷大学)
 大谷大学博物館二〇〇七年度特別展図録
☆☆『手塚治虫 戦争漫画傑作淺T・U』(祥伝社新書)
 手塚治虫の描いたマンガの内から先の大戦やベトナム戦争に題材をとった短編ばかりを集めたもの。結構泣けました。
『旧暦読本』(創元社)
 旧暦に関する事項、特に暦注や歳時の詳しくやさしい解説が載っている。本人は「旧暦は日本の大切な文化遺産」といいながら「旧暦の礼賛者」ではないといい、暦注の或るもの(丙午など)については「こういう旧暦にまつわる迷信悪利用は絶対に許せない、唾棄すべきものである」と言い切っちゃうのはすごい。「迷信悪利用」って迷信悪のりようなんでしょうか、それとも迷信の悪利用なんでしょうか、よくわかりませんが。
『七福神の創作者』(三五館)
 七福神の創作者が一休だという信念(妄想)に取り付かれた学者崩れのおじさんが書いたトンデモ本。「七福神に関するあらゆる文献を逍遥しました。」って逍遥してどうするんですか。普通「渉猟」じゃないですか。そのうえそうした文献のひとつが『大日本古記録』だといい、なおかつ当人は「そこまで必死になった」というのですから底が知れてます。せっかく必死に逍遥したにもかかわらず、ただの一つも文献からの根拠は示さず、やみくもに「一休さん以外にこれを創造した人は考えられないのです。」って言われてもね。こんな人が顧問をやってる「全国七福神連合」というのもどういう会なんでしょう。
☆☆『絵で見るパリモードの歴史』(講談社学術文庫)
  19世紀に書かれたパリの服飾文化の歴史について書かれたもの。挿し絵入りで面白かった。帽子や髪型についても詳しく触れてあって興味深かった。
☆☆『中国昔話集1・2』(東洋文庫)
 ドイツのエーバーハルトが収集したタイプ別昔話集を翻訳したもの。各タイプの話に詳細な参考文献の注がついていて、論文資料としてもはなはだ役立つ。
『デジタル社会の日本語作法』(岩波書店)
 パソコンや携帯でのメール作法について、現状の研究と今後のあり方を考察したもの。単なるハウツウ本ではないので注意が必要。
『京都異国遺産』(平凡社)
 一見研究書にも見えるが、異国遺産とは関係のない話もあって、実は新手の観光案内本。著者の一人磯部さんよ、「中国音では〈蝙蝠〉の蝙が福と同音なことから…」とはなにごとですか。よくそんなんで装飾美術論が専門なんていえますね。
『蜜のあわれ』(講談社文芸文庫)
 愚にも憑かないことをただだらだらと、途中で我慢がならず読むのをやめました。
『図解 中国の軍事力』(河出書房新社)
 類書がないようなのでなかなか爲になった。但し10年前の本なので出てくる統計資料などが古くて使い物にならない。もっとも10年後(早い話が現在)の中国軍事力の予想なんてことしてるので当たっているかどうか検証してみるのも一興かも。僕自身はそれほど興味なし。
☆☆『自分の体で実験したい』(紀伊国屋書店)
 10編の自己人体実験のエピソード集。おしむらくは東京医科歯科大学でアレルギー治療のためサナダムシを何度も飲み込んでいるという藤田紘一郎先生の話が読んでみたかった。
☆☆『江戸のかたちを歩く』(祥伝社黄金文庫)
 一風変わった「かたち」を視点にした東京観光マップ。いろいろユニークな話は楽しめたが、ほとんどがこじつけ。やたら何でも「…かもしれない。」で強引にまとめてしまう、少し胡散臭い本。もう少し学術的だったらなぁ。おしい。
☆☆☆『浮世絵 一竿百趣 水辺の風俗誌』(つり人社)
 釣りを題材とした浮世絵ばかりを集めた本。つり好きの浮世絵マニアにはたまらない書物。実に愉快でした。
☆☆『日本妖怪変化史』(中公文庫)
 風俗史学者である江馬務の大正期の著作。妖怪研究の書物としては古典的なものだが、用例・例話の採取に少し一貫性を書くところがあるので注意が必要。例話に基づいて様々な方面からの分類を行っているのだが、どうもなんでもありという分類になってしまい、あえて分類することの意味が分からないものも多い。
☆☆『魏晋南北朝壁画墓の世界』(白帝社)
 多く北朝系の壁画墓にふれられていて興味深かった。ただまた中国人の日本語による著作のため変な日本語が少し目に付いた。内容は少し高度で専門化向き。
☆☆『李白と杜甫』(大修館書店)
 多分に小説的な評伝。面白さも信憑性もまぁまぁかな。
☆☆☆『舊漢字』(文春新書)
 今流行の書いて覺えるシリーズ。舊漢字だけじゃなく、全編舊仮名遣いをもちい、舊漢字の書き順まで示してある珍しい本。引用例文も薀蓄もなかなか面白く讀める。大學生の頃にsc恆存の本を熟讀したというから趣味が合うのかも。卷末に索引もついていて便利。ただ一ヶ所「歸」の項の薀蓄で『…鳴き聲を寫して「不如歸」と書いただけだといふ。フジョキコ、ジョキコ、……?』とあるが、これは「ジョキコ」と讀むから「?」なんでここは「プルークェイチュイ」と發音してみるとホトトギスらしくなるのである。
『異体字の世界』(河出文庫)
 同種の本同様、用例と文部省のいい加減さの指摘ばかりで、あまり新鮮味がない。あえて言うなら、携帯メールでも使える文字について言及がある程度。あえてこの本を選んで読む必要はないと思われる。
☆☆☆『風雅の図像―和風文様とはなにか』(ちくま学芸文庫)
 数ある文様を解説した本の中では、解説の丁寧さといい、文章の出来といい、出色の書物だと思われる。文様学の入門書としては、第一だろうと思われる。 ただ一ヶ所、「蝙蝠は、蝙が福に通じることから、中国、日本では吉祥文の扱いであったが」とあるが、ここは「蝙」ではなく「蝠」の誤りであろう。
☆☆『韓国文様史』(第一書房)
 文様史とは言っても、ほとんど高麗銅鏡の文様を分類・解説したもの。ところどころに校正ミスやおかしな記述が見られる。例えば8ページ、「日象図の三足烏文」の隣りに「月象図の三足烏文(双楹塚天井)」とあるが、 月象図に三足烏の文様があるなんて考えられない。本文(16ページ)には、双楹塚の天井の文様は「特に日象図文には円点内に三足烏が描かれており、月象図文内には蟇蛙である蟾蜍が描き込まれている」と書かれており、 キャプションのほうは校正ミスであろう。また、何故このカラスが三本足であるかについて、様々な説を紹介しているが、最も有力な陰陽説に関連するという説については紹介していない。これなどは手落ちであろう。
『邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本』(新潮新書)
 昭和を代表する男優・女優別に代表作をピックアップして解説したもの。あまり面白くなかった。
『源氏物語と音楽』(和泉書院)
 源氏物語だけではなく、他の物語とも比較してあったり、楽器別の形容語の研究があったり、ためにはなったけど面白くはなかった。
☆☆☆『三国志研究入門』(中外アソシエーツ)
 三国志学会監修の一冊。正史のみならず演義や周辺の歴史・文学・思想など様々な面での入門書ともなる。特に第一部のU論文を書いてみようの項は卒論作成の手引きにもなり、はなはだ有用。また文献や論文の紹介も詳細。
☆☆『世界を変えた6つの飲み物』(インターシフト)
 6つとはビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラ。内容は大変面白かったが、量的にちょっとしんどかった。あと紅茶の項には「6世紀、道教の始祖である老子は……」「日本の気候は茶の栽培によく適しており、かなり貧しい家でさえ、茶の木を何本か育て、必要な時に葉を1,2枚摘んでは茶を入れる……」という、おいおいという記述が見られ、ヨーロッパ人のアジアの理解は未だにこの程度なんだとおもわされました。
☆☆『星の神話・伝説集』(恒星社)
 昭和二十九年に書かれた古い本だが、星の神話・伝説を日本篇と海外篇に分けて採録してある。特に日本篇は各地の民間説話もひろってあり興味深かった。
☆☆『アニメ文化 雑誌ジャイロス10号』(勉誠出版)
 日本のアニメ文化について、様々な角度からの論稿を特集したもの。ロシアやラオスの事情も知れて興味深かった。
☆☆☆『年表日本漫画史』(臨川書店)
 京都漫画ミュージアムの研究顧問でもある清水勲氏が書いた日本漫画史。各時代を代表する漫画家や雑誌の解説などもあり、資料編も豊富で利用価値が高い本である。
☆☆『桃山絵画の美 別冊太陽』(平凡社)
 新発見の「洛外名所遊楽図」をはじめとして狩野永徳を中心に桃山絵画の特質と魅力について解説したもの。
☆☆『美人のつくりかた―石版から始まる広告ポスター』(印刷博物館)
 同名の展覧会の図録。展覧会は時間がなくて見られなかったので図録だけ見ました。以前読んだ『明治・大正・昭和お酒の広告グラフティ』と似た本でした。広告ポスターの作り方が図解入りで詳しく説明されていたり、原画や石版・平版が比較してあったり、とてもタメになりました。さすが印刷博物館。
『江戸の妖怪事件簿』(集英社新書)
 最近やたらと「江戸」「妖怪」をキーワードにした本が出版されるが、これはつまんなかった。理屈や能書きばっかりでもっと妖怪をださなくつちゃ。
『英語を禁止せよ』(ごま書房)
 戦争中の敵性語狩りの状況は詳しく分かったのだが、それと比較するのがアメリカの日系人スパイ養成とその効果というのは、比較の仕方がなんか違っているような気がして仕方ない。
マイナス☆☆☆『中国の風刺漫画』(白帝社)
 できの悪い卒業論文なみの本。中国人だから日本語の文章がまずいのは多少我慢はしてもひどすぎる。誰か指導教員に読んでもらうとか、出版社の編集者は何やってんだろう。こんな日本語理解できますか。「北沢楽天など、日本から中国に影響を受けた歴史を知り、……」「ついに、日本の大学で、本格的に中国漫画を歴史から研究するに至り、今日にある。」それにやたらいろんな資料や書籍を引用するけどどれひとつとして出典や書誌事項を明記する気がないみたいで一箇所も注がつけられていず、ただ巻末に参考文献を挙げて済まそうとしている。僕のクラスなら卒論としても不可です。こんな本で金取るな白帝社。見損なったぞ。
☆☆『外骨みたいに生きてみたい』(現代書館)
 外骨の血を引く著者が書いた外骨伝。女性ならではの切り口もあって、他の外骨伝とは一風変わった味わいになっている。
『金田真一耕助之介の冒険』(新感線文庫)
 劇団新感線の「犬顔家の一族の陰謀」のパンフレットとして作られた角川文庫のパロディもの。本編はもとより、最新刊の広告から「文庫発刊に際して」までをパロディしている。
☆☆『明治・大正・昭和お酒の広告グラフティ』(国書刊行会)
 ビール・日本酒・洋酒・清涼飲料水などジャンル別にも収集されており、図像資料集としても有用。
『短観博物誌』(文春新書)
 柴田宵曲の『俳諧博物誌』にならってつくられた短歌版動物誌。持つとも空想動物まで含まれているのはユニーク。短歌の解説ばかりではなく、様々の関連書籍も紹介されていてたいへん役立つ。なぜか巻頭には「猫文学序説」あり。
☆☆☆『雷文化論』(慶應義塾大学出版会)
 山形県鶴岡市の慶応鶴岡キャンパスで行われた「雷サミット」で行われた講演をモトにした本。世界各国における雷の文化的側面がわかる。
☆☆『中国貿易魚介図鑑』(成山堂書店)
 解説部分も詳しく利用や話題なんて項目もあっておもしろい。シャコの中国名に「蟷螂」の名がついているのがおもしろかった。
☆☆『中国絵画史』(藝文書院)
 各時代の特徴はもとより山水画・花鳥画などのジャンル別絵画史についてもふれている。巻末に画家人名索引を付す。
☆☆『孝経 全訳注』(講談社学術文庫)
 全訳のみではなく、その歴史や参考文献などの解説も充実。日本における「孝行」関係の文献や記事も集められていてユニークかつ有用。
☆☆『ロシアのかわいいデザインたち』(ピエブックス)
 ロシア皇帝の至宝展で購入した一冊。ロシアへ行ってみたくなる一冊でした。
無星『日本語は天才である。』(新潮社)
 つまんなかった。なんだかんだ言いながら結局は著者柳瀬尚紀の翻訳自慢話ばっかり。本当は「柳瀬尚紀は天才である」と言うタイトルにしたかったんだろうなと思わせるほど読んでて気分が悪くなる本でした。
『瓦屋根(NHK美の壺)』(NHK出版)
 アート鑑賞マニュアルの一冊。もう少し「飾り瓦」についてくわしければなぁ。
☆☆『和箪笥(NHK美の壺)』(NHK出版)
 アート鑑賞マニュアルの一冊。タンスの語源が韓国語だったとは。船箪笥にちょっと魅かれました。
☆☆『中世日本の予言書 ――〈未来記〉を読む』(岩波新書)
 主に『野馬台詩』と『聖徳太子日本国未来記』を中心に中世の未来記騒動について考察している。
☆☆☆『ももんがあ対見越入道 江戸の化物たち』(講談社)
 妖怪ファンにはたまらない書。江戸時代の様々な絵入り本に画かれた妖怪たちを紹介。切り口もユニーク。幽霊と妖怪の違いについて、幽霊は死んでいるが、妖怪は生きているというのも面白い。
☆☆『缶詰マニアックス』(ロコモーション)
 珍しいのや定番や、内容量から原材料まで書いてあって、今晩のおかずは缶詰でいいやと思わせる、まさしくマニアのための一冊でした。
無星『火星人ゴーホーム』(ハヤカワ文庫)
 久しぶりに外国のSFを読んだが、全然つまんなかった。清水義範が推薦してたので読んだのだけど全くの期待はずれで時間の無駄でした。
☆☆☆『荒ぶる京の絵師 曾我蕭白』(臨川書店)
 05年に京博で開催された曾我蕭白展の際に行われた公開講座集。一読の価値有り。
☆☆『絵で見る江戸の女たち』(柏書房)
 江戸時代の女性たちの生活を様々な絵画資料で解説したもの。
☆☆『陶淵明 詩と酒と田園』(東方書店)
 中国文化学会で行われたシンポジウムをもとに書き下ろされた最新論文集。
『陶芸の文様』(青幻社)
 古伊万里を中心とする陶芸の下絵文様集。
『江戸おしゃれ図絵』(講談社)
 江戸時代の着物や帯・髪型(男女とも)について時期別に解説したもの。情報量は豊富で役に立ちそうなのだが、ところどころに例として引用される浮世絵の類が、全て原本ではなく、イラストレーター(本人曰く「絵師」)である作者の模写であるのはちょっと興がそがれる。
☆☆『おもちゃと遊びのリアル −「おもちゃ王国」の現象学』(世界思想社)
 岡山に本部のあるおもちゃ大国と岡山大学との産学協同研究の成果の一つ。社会学の先生が書いたらしくまじめで哲学的でちょっと難しい内容になってます。いろいろ勉強にはなりましたが、短期レベルの学生には少し手ごわいかも。
『盆栽・風呂敷・根付・和菓子(NHK美の壺)』 (NHK出版)
 同番組の鑑賞マニュアル四種。それぞれに勉強になることばかりでした。
『漢文脈と近代日本』(山海堂)
 日本近代社会の成立に漢文の訓読文がいかに重要な働きをしたかを述べた本。少し専門的。
『京劇の世界』(東方書店)
 京劇鑑賞の入門書。著者・訳者ともに中国人であるためか、あるいは中国の出版社との共同出版のためか、文章に中国語臭さが残っており、少々読みづらい。
『マンガ研究 vol.11』(ゆまに書房)
 マンガ学会の機関誌。マンガ研究の「根源的課題」である「研究」と「評論」の問題がどう進展していくか、興味深く観察していこうと思っています。
☆☆☆『処女懐胎』(中公新書)
 マリア信仰のみならず、父親のヨセフに関してやマリアの母であるアンナついても図像学的に考察してあり、キリスト教美術書としては出色。
『動植物の漢字がわかる本』(山海堂)
 いわゆる辞書タイプなので読み通すのは辛かった。漢字マニア向け。
☆☆『浮世絵のことば案内』(小学館)
 浮世絵研究の入門書としては使える。特に三節・四節は必読だろう。
☆☆『匂いをかがれるかぐや姫 〜日本昔話Remix〜』 (マガジンハウス)
 一寸法師とかぐや姫と桃太郎の話をコンピューターの英訳ソフトにかけて、さらにそれを日本語に再翻訳して出来上がった、とんちんかんな物語を集めたもの。「月の世界」がなぜ「お尻の世界」になってしまうのか。
『忘れていた日本の懐かし言葉』 (サンガ)
 ちっとも忘れてはいないし、懐かしくもない言葉ばかりでした。
☆☆『楊貴妃になりたかった男たち』 (講談社)
 久しぶりの武田雅哉先生の著作。残念ながら女装などの異装は興味を持てず、飛ばし読み。
『実録!平成日本タブー大全T』 (宝島社)
 触れてはいけない日本の裏面に様々なライターたちが踏み込んだドキュメント。読んでて辛くなるというか、腹が立つというか、かなしく、むなしくなりました。
☆☆☆『将棋駒の世界』(中公新書)
 将棋駒研究の必読書。入門から駒作りまで詳しく解説。カラー図版も豊富。
『読書必勝法』(講談社)
 清水義範、西原理恵子コンビのこのシリーズはよく読むけど清水義範は年とってきて面白さがだんだん減少し、なんか本当に国語の先生っぽくなっちゃってがっかりです。それに対し西原さんの怖いもの知らずの暴走振りは相変わらずでおもしろかったです。
無星『時間はどこで生まれるのか』(集英社新書)
 久々にわからんかった。やっぱり哲学や物理は苦手です。とても日本語読んでるとは思えませんでした。「一秒は、セシウム一三三原子の基底状態の二つの超微細エネルギー準位の間の遷移に対応する放射の九一億九二六三万一七七〇周期の継続時間」って説明されたってわかんないと思います。でもこんな定義にチョー(超)が出てくるなんて女子大生っぽくていいかも。
☆☆『街角のオジギビト』(筑摩書房)
 平凡パンチで連載されていたものを単行本化したものです。路上観察のひとつとして、工夫次第ではもっと学問的にも出来そうで面白い題材でした。
『死にざまの昭和史』(中央公論社)
 昭和六十三年間に死んだ人物を年ごとに一人ピックアップしてその行き様と死にざまを画いたもの。死んだ人間より生き残ってその死を受け止めた家族や友人たちのお話しでした。
☆☆『できるかなクアトロ』(講談社)
 西原理恵子のシリーズものの一冊。40を超えてますますパワーアップしているみたいです。
☆☆『サイバラ茸6』(講談社)
 西原理恵子のマンガばかりを集めた本。だんだんマンガが下手になってるような気がします。
『作家が歩いた京の道』(淡交社)
 作家たちの足跡をたどりながら近現代の文学作品に登場する京都を紹介したガイドブック。
『しぶちん京都』(メディアファクトリー)
 ちょっと変わった京都ガイドブック
『江戸年中行事図聚』(中公文庫)
 挿し画家の著者が年中行事に関する江戸時代の図像集を模写したもの。どうも学問的というより趣味的な色合いが強すぎて中途半端で使いづらい本です。
☆☆『手塚治虫 原画の秘密』(新潮社)
 実際に発表される漫画とその原画、さらに単行本になるときと皆違うんだということがよくわかりました。漫画作りの裏側がよく分かる一冊です。
☆☆『シルクロード 華麗なる植物文様の世界』(山川出版社)
 図版たくさんで綺麗な本だったけど、ちょっと中途半端かな。
☆☆『顏の文化誌』(講談社学術文庫)
 日本の顔の化粧文化について平安から現代までたどったユニークな本。いろいろ勉強になりました。
☆☆『新発見 洛中洛外図屏風』(青幻舎)
 滋賀県の洛中洛外図屏風の解説。部分的拡大図が豊富に収められている。さらに、各種の洛中洛外図についての解説もあり、大変勉強になった。
『京の門』 京都新聞出版センター
 京都の有名な神社仏閣の門を紹介した写真集。歴史などについても触れられており、ガイドブックとしても役立つ。
☆☆『美術に見る日本のスポーツ』 徳川美術館
 昨年に買って忘れていたもの。同趣向の中国のスポーツものと見比べると面白い。巻末の解説も役立ちます。
『漢画解讀』 文化藝術出版社
 中国の画像石をテーマ別に解説したもの。中国語による専門書。
☆☆『アール・デコ・ジュエリーの世界』
 京都国立近代美術館で行われた展覧会の図録。会自体は見に行けなかったので図録だけ取り寄せて鑑賞しました。綺麗な女性とそれを飾る素敵な装飾品の数々。特に中国と日本の影響を受けたジュエリーに興味をそそられました。
☆☆『京都蕎麦スタイル57』  京都新聞出版センター
 新しい店が増えてて、また蕎麦屋めぐりをしようかなと思ってます。
☆☆『食虫植物の世界』  誠文堂新光社
 子供向け図鑑。図鑑は子供向けでも面白い。食虫植物も気色悪くて好き。
☆☆『らくたび文庫・京の紙遊び』  コトコト
 いろいろ興味深いものがありました。これは買って正解。
無星『らくたび文庫・京都穴BAR』 コトコト
 あまり食指の動く店はありませんでした。買って失敗
☆☆☆『中国古典を読むために』 大修館書店
 頼惟勤先生の中国語学の講義録をまとめたもの。中国の辞書の歴史が懇切丁寧にまとめられている。久しぶりに読み返したらあらためて勉強になりました。
『QED 河童伝説』 講談社ノベルズ
 あいも変わらず事件の部分より大半が日本史のウンチクという変な推理小説。今回は河童がテーマ。次回作は「七夕」?
中国古代書簡集』佐藤武敏 講談社学術文庫
 春秋戦国時代から漢代までの書簡を訓読・現代語訳し、解説を付したもの。国家間の公的な手紙より、個人的な手紙が面白く読めた。
☆☆東京版アーカイブス 「あの頃のニュース」発掘』泉麻人 朝日新聞社
 昭和初年より昭和47年までの朝日新聞・東京版の記事をピックアップしたもの。ところどころに挿入されている写真も興味深く、隔世の感、昭和は遠くなりにけり、なんて言葉が思わず浮かぶ。