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@ ひとりぼっちのおおかみがいました。 オオカミは鋭いキバと目つきの悪い大きな目で怖がられて、誰も近寄ってきませんでした。 「今日も一人ぼっちか、さみしいな」 と言いながら歩いていると、 |
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A 群れからはぐれたアヒルがいました。 「どうしたの?」 とオオカミが声をかけると、 「わたし目が悪くて一人ぼっちなの。悪いオオカミが来たら食べられてしまうよ、あなたはだあれ?」 とあひるが言うと、オオカミは、自分がオオカミと知られると、嫌われると思い、うそをつきました。 「僕もアヒルだよ。僕も一人なんだ。よかったら一緒に遊ぼうよ」 と言いました。 |
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B 二人はすぐ仲良くなりました。 ご飯も一緒、お風呂も一緒、寝るときだって一緒でした。 二人は本当のきょうだいみたいでした。 オオカミがいるおかげで、アヒルは何からも襲われることはありませんでした。 |
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C 数日後、目がよくなる実みがあると聞いたオオカミは、その実を山のように持ってきてアヒルに食べてもらいました。 だんだん目が良くなってきたアヒルは、初めてオオカミの顔を見ました。 |
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D いつものように実を持って帰ってきたオオカミを見てアヒルが言いました。 「鋭いキバに、目つきの悪い大きな目、あなたオオカミだったのね。ずっとだましてたのね。ひどい」 と言って走って逃げていきました。 おおかみは、 「だますつもりはなかったんだ」 と落ち込んでいました。 |
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E アヒルが泣きながら逃げている途中、いきなり悪いオオカミが出てきて、 「ずっとこの時を待っていたんだ。お前を食ってやる!」 といい、アヒルに襲いかかりました。 あひるは、 「たすけてー」 と叫びました。 その声をきいて、 |
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F オオカミが助けに来ました。 悪いオオカミの首を咬み、悪いオオカミは、 「おぼえとけよ」 と言って逃げました。負け犬の遠吠えとはこのことです。 アヒルはぐったりしていたものの、少しのけがで済みました。 |
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G 「オオカミくんありがとう。ごめんね。ずっと私を守ってくれてたのに、それに気づけなくて」 アヒルがが言いました。 「君に嫌われると思ってずっと本当のことが言えなくて、ごめんね」 オオカミがいいました。アヒルが 「これからもずっと一緒だよ」 といいました。 ずっと一人ぼっちだったオオカミに、本当の友達ができました。 |
おしまい |
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